2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530804
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
佐々木 隆志 静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50178654)
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Keywords | 終末ケア / ターミナルケア / エンド・オブ・ライフケア / 高齢者 |
Research Abstract |
平成24年度では、終末ケア、ターミナルケア、エンド・オブ・ライフケアの三者の概念整理とその高齢者福祉分野における用語の使い方について考察した。筆者はこれまで,高齢者分野における死にゆく人々のケアについて一貫して終末ケアを用いてきた。それは,ターミナルケアの場合は,医療や看護からの研究が主流であり,高齢者の生活全般を捉えた場合に,そのアセスメントや支援は生活課題が中心であり,介護福祉士や等本来の業務と考えたからである。死にゆく患者は医療的なニーズが高くなり,キュア(治癒)からケア(治療)への連携チームによる支援が必要になる。エンド・オブ・ライフケア(End-of-LifeCare)とは、Dr. Kathleen M Foleyによって用いらている。彼女によれば,エンド・オブ・ライフケアとは「人生の終焉を迎える直前の時期の人生の終焉を迎える直前の時期の患者へのケア」を意味し用いている。エンド・オブ・ライフケアが1999(平成11)年以降普及し始めた経緯は,Dr. Kathleenの講演に加えて,以下の理由が日本で普及したと筆者は考えている。人生の終焉は誰にでも訪れ,終焉の原因(死因)が病気のことが多く,しかも原因となる最近の病気の多くは長い経過をとる。そのような最期の日々の痛みや苦しみを十分に治療され,本人が望むとおりに過ごせるよう支援する。第一に,がん患者に対する死亡の割合は,1980(昭和55)年以降首位を占め,厚生労働省ではその疾病の予防に向けて「健康日本21」で示す9つの分野から生活改善に取り組んできた点である。第二に介護福祉士養成及び社会福祉士養成において,専門科目の名称が改められた点である。即ち、終末ケアからエンド・オブ・ライフケアへ高齢者の生活を全体の視点でとらえている点の特徴をみることができる。この視点はWHOの障害の概念規定と大きく関係性が見出せる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2期介護保険の改正に伴い、居宅系サービスは複合型サービスに加え多種多様になり高齢者の居宅支援が強化されてきている。このことは、在宅で終末を看取る介護保険加算もされ、地域密着型サービスと連動し進められている。つまり、平成2年のゴールドプラン以降確実に高齢者の施設サービスから在宅地域へ移行してきている。また、これらの動向に関係し公的なサービスも高齢者のニーズに沿った住み慣れた地域や在宅での看取り、介護の方向にきていることが明らかである。その際、地域やその地域を取りまく社会資源を包括しケアプランが作成されている事例が数多く見受けられている。これらの実態は筆者の研究デザインの仮説とほぼ合致しているため、研究計画は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画では、終末ケアに関する地域性を重視した取組みと、利用者からのヒヤリングを予定している。いつの時代も、高齢者はその長い生活経験からくるライフスタイルが重要であり、それは、そこに住む住民(高齢者)でなければ,理解できないことが多い。そこで高齢者についても障害者についても,介護や終末ケアを考えるときに,地域性や保健・医療・福祉のサービスの供給体制の有無が終末の場所と関連性が深いこと考察していく。さらに,高齢者を取り巻く環境を抜きにして終末ケアは考えられない。その際に,終末ケアとライフケアを一元的に捉える視点が重要であり,イギリスにおけるセントクリストファーホスピスにおいては既に実践されている終末ケア項目と終末ケア、エンド・オブ・ライフケアを総合的にとらえて論究していく。終末ケアから高齢者の死と死の周辺に発生するクライアントのさまざまなニーズを,総合的に捉えたエンド・オブ・ライフケアの視点が今日の終末ケア実践に適合している論拠をあきらかにしていく。 尚,終末ケアとエンド・オブ・ライフケアの関係性の中で,「国際障害分類の定義(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)の定義変更とエンド・オブ・ライフケア」についても先行研究から考察する。以上のことから、平成25年度では以下の柱により調査をすすめる。①施設のいける終末ケアとエンド・オブ・ライフケアの実態の分析、②介護保険施設における、エンド・オブ・ライフケア実践内容。③介護保険施設では、エンド・オブ・ライフケアの担い手はだれか。④「3」の実践面においての課題は何か。⑤介護保険施設における、エンド・オブ・ライフケアの有効性について。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度における研究費の執行については、無駄のないように十分留意する。特に、業者の振り込みは月1回限りとする。研究費(予算)のなかで人件費を150千円程度計上している。このほか、以下の支出を予定している。 【研究費使途計画}①人件費 150千円(アルバイトによるデータ入力)、②図書購入270千円(エンド・オブ・ライフケアの文献購入)、③文献複写 34千円(エンド・オブ・ライフケアの文献複写)、④その他 146千円(アンケート印刷・送付・返信) 上記の予算執行により、日本における高齢者施設のエンド・オブ・ライフケアの質の向上に寄与する。 尚、平成24年度執行残金で次年度繰越金は、238,020円である。この残金が生じた理由は、年度当初、施設へのアンケート実施を予定していた。しかし、研究途上において改正介護保険の関係で、施設職員の非正規雇用の増大などを含め、調査を25年度に見送ったためその分の予算が結果として、残ったことになる。 平成25年度では、アンケート調査の有効性・効率性から、調査項目・調査内容を施設職員とよく打ち合わせを行い、今後も予算の適正化に努める予定である。また、既存の研究環境を生かし、無駄のない支出に努める所存である。
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Research Products
(6 results)