2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者サロンの展開方法に関する研究―小地域別ソーシャル・キャピタル分析から
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23530805
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Research Institution | Beppu University Junior College |
Principal Investigator |
山村 靖彦 別府大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80455089)
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 高齢者サロン / うすくて、ゆるいつながり / 地域福祉 |
Research Abstract |
当年度については、まずソーシャル・キャピタルに関するアンケート内容の検討を念入りに行った。これは、今回の調査対象者の年齢層を13歳以上と幅広くしていることから、各年齢層にとっても理解しやすく、また回答しやすくすることが、本調査の回収率および正確性に大きく影響を及ぼすものと考えたからである。このアンケート内容については、これまでのOECDや内閣府で実施されたものに地域福祉の項目を加味し、A4サイズ2枚で20項目にて構成されたものを7月末に完成させた。 ソーシャル・キャピタル調査については、S市社会福祉協議会の協力を得て、1月中旬から2月中旬にかけて実施した。対象はS市内20地域に住む13歳以上の全員1,482名で、民生児童委員13名と福祉委員23名に調査を依頼するかたちで留置調査法により行った。回収は1,257名で、回収率は84.8%であった。 高齢者サロン調査については、ソーシャル・キャピタル調査対象と同地域における平成24年度の月別参加率の結果を、開催者であるS市社会福祉協議会に求め算出した。 以上、当年度は最終年度となる次年度での分析・考察に向けての調査が実施できたことから、本研究については極めて順調に進捗しているといえる。とりわけ、ソーシャル・キャピタル調査においては、個人研究としては比較的大規模な全数調査の実施に加え、高い回収率を得ることができたことから、本分野における基礎的データ収集としての意義・期待は大きいものと考えられる。 以上、当年度は本研究の最終年度にあたる次年度での分析および最終成果に向けて、重要な位置づけとなる調査ができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、当初の予定どおりアンケート内容について検討を行い完成をみることができた。また、調査予定地・対象者に対してのソーシャル・キャピタル調査の実施および高齢者サロンの参加率に関するデータを収集することができた。加えて、本研究に関連する論文1編、共著書2編(うち1編は2013年度刊行予定)を発表できたことから、当年度における現在までの達成度としては、「おおむね順調に進展している」と判断できる。 ただし、学会等での口頭発表に至らなかったことが若干の反省点としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当年度に行った調査結果の分析および考察、ならびに調査対象地域での高齢者サロン活動においての参与観察を行う。これらの作業は、8月下旬までには終了し、その後は論文執筆ならびに学会等での発表を行う予定である。 なお、本研究はソーシャル・キャピタル論に軸足をおいて展開するものであるが、研究を進めるなかで、ソーシャル・キャピタルに内包される「うすくて、ゆるいつながり」の現代社会に与える影響・重要性に気づかされた。このことは、本研究における新たな展開につながっていくものと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、調査研究の再確認および参与観察のため、調査対象地域へ4回に分けて出向く予定である。 また、北海道(日本社会福祉学会)、関西(日本地域福祉学会)、九州(コミュニティ政策学会)等で行われる各学会への参加、発表を予定している。以上、次年度はこれらにかかる旅費を中心に計上している。 さらに、近年は諸外国においてソーシャル・キャピタルに関する出版物が多くみられることから、これらについては本研究に関する重要な文献資料として入手しなければならないと考えていことから、若干の書籍代を計上している。
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