2012 Fiscal Year Research-status Report
団塊(ベビー・ブーマー)世代の引退過程の国際比較と社会保障の効率的配分研究
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23530807
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
西村 幸満 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第2室長 (80334267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 正 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障基礎理論研究部, 第2室長 (00425761)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第1室長 (70360716)
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Keywords | ベビー・ブーマー / 引退過程 / 健康と就業(引退) |
Research Abstract |
本研究は、1947-1949年生まれ(1946-1950年とする場合もある)の日本のベビー・ブーマー(以下、BB世代)について、引退過程の生活実態を明らかにし、引退過程における健康と医療行動、就業行動により受ける影響を経済学的・社会学的な分析枠組みを用いて解明することにある。 2年度は、日本のBB世代の短期的傾向が、国際比較上特異な現象であり、人口減少あるいは少子化と関係が深いという事実認識から始まった。第2次世界大戦後に関係国で生じたBaby Boomが日本に比べて長期化する国、とくに米国のように戦後のBaby Boomerが3世代まで継承することにより、日本のような世代間継承上の先鋭化はみられないことを確認した。日本と比較的似た傾向は東南アジア‐とくに韓国において確認された。 日本の先行研究では、その多くが2007年における60歳定年のインパクトに焦点が置かれていたため、定年延長あるいは再雇用が企業側制度の変更や年金受給年齢の65歳へ移行などにより、予想された顕著な社会問題は顕在化していない。その結果,2012年時にBB世代への注目は沈静化している。 今年度から実施している50歳後半以降のBB世代を含む中高年齢者のグループ・インタビューにおいては、健康と就業継続が情報収集による意思決定ではなく、場当たり的な側面で共通しており、継続的な調査により職業(あるいは学歴)などのスクリーニングにより年齢コウホート間の差異を確認することが課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、BB世代特有の特質を抽出する手続きとして、同様の現象をもつ主に先進国の実態を求めてきた。初年度では調査データの利用が叶わなかったが、2年度にはHealth and Retirement Study (HRS)とThe Study of Health, Ageing and Retirement in Europe (SHARE) を入手することができた。現在分析を進めているところである。 一方で、個々の分担研究者の達成度については若干違いが生じている。それは上記データの分析が、初年度のデータ入手の遅延により、遅れていることに起因するが、同一個人を継続的に追跡する「健康と引退に関する調査」の利用が可能になっている。健康変数が充実しているこの調査の利用は、上記データと整合性が高く、結果の汎用性に期待できる。この点は研究分担者の地道なリサーチの結果である。 引退決定時期を質的に分析するために実施している50歳後半以降のBB世代を含むグループ・インタビューでは、量的調査では得られない事実発見があった。健康上の問題が就業継続を困難にすることは明らかであるが、引退決定を可能にした者は、健康問題を身近な他者によって喚起された経験をもつ。すなわち、引退決定は一般的で継続的な健康観・意識によって支えられているとは限らず、無為の日常生活の継続によって達成されている、というのである。この点を量的データで確認するのは困難であるが、メンバーが留意すべき事実認識でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度である。最終成果を集約する前に,年度の半期(9月前後)までにBaby Boomerの先行研究のレビューを整理し、国立社会保障・人口問題研究所のディスカッション・ペーパーとして刊行する。同様に、グループ・インタビューについてもその成果の刊行をおこなう。この2つの成果を共通認識として位置づけ、他の量的分析結果の解釈において主任研究者と研究分担者の間で一定の方向性を共有する。 10月までに各分担研究者の成果をもち寄り、事実確認の整理をおこなう。最終年度の報告書を刊行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は最終年度であるため、基本的には物品費の使用は最小限にする。2年度は分担研究者の分析に時間を割いたため、2次分析では十分に肉付けできない限界を補完するために実施するはずだったグループ・インタビューの回数、内外の研究会で発表、あるいは研究報告を招へいすることが十分ではなかった。本年度は、そのための謝金を担保し、かつ研究成果の最終報告をまとめるための費用を担保する。
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