2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530809
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
今在 慶一朗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40359500)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 手続き的公正 / 鄭重さ / 説明責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 前年度から継続していた実験室実験を行った。この実験における実験参加者は、被告人の弁護を担当する役を与えられ、コンピュータ画面を介して裁判員役の人物(実際にはプログラムによる応答)と数回チャットによる相互作用を行った後、その人物が下す量刑の判断についてどの程度妥当であると思うか評価するよう求められた。その際、裁判員役の人物の発言は、①敬語・平語、②詳細な理由説明・簡単な理由説明という二つの条件が組み合わされ(全部で4条件)、実験参加者はいずれかの条件に割り当てられた。分析の結果、示された量刑が同じであっても、敬語を使用された場合に、裁判員役の人物の判断は公正で、妥当であると判断されやすいことが示された。さらに、追加の実験では、実験の課題に対してさらに熱心に取り組むよう被告人の状況や裁判員の発言についてメモを取りながら、実験に取り組むよう求めたところ、説明が詳細であることによって公正さや妥当性が感じられやすくなることが確認された。これらの結果から、人々は権威者から受ける鄭重な扱いによって納得しやすいものの、自己関与が強まるにしたがって、権威者の表面的な印象よりも、詳細な説明を求めるようになることが示唆された。 2.権威者による社会的決定に対する公正感や納得は、場面の違いを超えて、鄭重さと説明責任を果たすことによってもたらされると予測し、衆議院選挙が実施される機会を利用して、政治的問題について、鄭重さ、説明責任、公正感等に関する新たな調査を行った。調査はインターネットを利用して行われた。2,500人の回答者から得られたデータを分析した結果、予測したように、人々が政治的権威を鄭重さと説明責任の点から評価すること、そうした評価が投票行動に影響を与えることが確認された。 3. 前年度投稿した労働審判の手続き的公正に関する論文が学術誌に掲載されることになった。
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