2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530810
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福野 光輝 山形大学, 人文学部, 准教授 (30333769)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 社会心理学 |
Research Abstract |
公共事業をめぐる行政と住民の利害対立を、一般市民がマイクロ公正関心とマクロ公正関心の不一致の観点から認知しているかどうか、また公正世界信念の喚起がマクロ公正判断を促進するかどうか実証的に検討するために、ウェブ調査を行った。調査対象者はネットモニターを使用し、北海道、宮城県、東京都、新潟県、岐阜県、大阪府、広島県、愛媛県、福岡県、沖縄県に在住の20歳以上の男女とした。質問紙は4つの部分から構成され各部分の質問項目の概要は次の通りである。質問Aでは、公正世界信念、システム正当化認知、ミクロ公正感、メゾ公正感、マクロ公正感を6件法でたずねた。質問Bでは、居住地域と国への同一性の程度を評価させた。質問Cでは、公共事業紛争の特徴に関する評価を行ってもらった。ここでは、公共事業をめぐる行政と地域住民の対立にはどのような特徴が含まれているか、これまで指摘されてきた紛争構造の認知次元(福野, 2009; Gelfand, Nishii, Dyer, Holcombe, Ohbuchi, & Fukuno, 2001; Pinkley, 1990)をもとに項目を作成した。質問Dでは、第三者の視点から紛争当事者の利害関心を評価してもらった。その際、Brickman et al. (1981)の指摘した3つのマクロ公正原理を公共事業紛争に則して項目化する。3つのマクロ公正原理とは、最小化原理(minimum principle)、下位集団原理(subgroup principle)、平均化原理(average principle)である。今年度は調査実施が年度末になってしまったため、この調査データの本格的な分析は次年度に行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主要な目標であった調査実施は実現出来たので、おおむね順調と考えられるが、実施時期が年度末までずれ込んでしまったため、データ分析は十分にできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度使用予定の研究費が生じた理由としては、今年度は、調査実施時期が年度末までずれ込んでしまったため、このデータをもとにした学会発表の準備ができず、発表旅費が使用できなかったことが挙げられる。次年度は、実験室実験の実施を予定しているが、上の予算的余裕を考え、実験の規模を拡大することも視野に入れる。また当初の予定では調査実施を予定していないものの、データ分析の結果、興味深い知見が得られた場合には、第2回の調査を前倒しで実施することも検討したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の前半部分は、他の作業と並行して、第1回質問紙調査で得られたデータのさらなる統計的分析を進める。分析では、紛争当事者への利害関心認知や公共事業政策評価、紛争解決手続きの選好といった変数間の関連や、これらに対する先行要因を明らかにすることをめざす。分析結果をもとに、平成24年度後半は実験室実験を行い、紛争解決過程における公正世界信念とマクロ公正感の関係を検討する。
|
Research Products
(1 results)