2013 Fiscal Year Annual Research Report
攻撃的情報の累積的影響:閾下刺激実験およびネットいじめ行動の調査を通して
Project/Area Number |
23530811
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
吉田 富二雄 東京成徳大学, その他部局等, 教授 (80182781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 進太郎 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (60323234)
藤 桂 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 助教 (50581584)
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Keywords | ネットいじめ / 情報通信機器 / ウェブ調査 / 集団実験 |
Research Abstract |
平成25年度は,実施計画に基づき,日常生活に偏在する情報通信機器への接触がもたらす累積的効果について,調査および実験的アプローチの両面から検討した。 まず調査的アプローチにおいては,高校生837名を対象にクローズ型ウェブ調査を実施し,日常生活における情報通信機器(パソコン,携帯電話,スマートフォン)への反復的接触が,ネットいじめ加害行動に結びつくまでの心理的過程について検討した。その際,媒介変数として,情報機器を介した友人関係維持に対する負担感に着目し,その内容についても詳細に検討した。その結果,情報通信機器への接触頻度が多いほど,“ネットがないと,周囲の話題についていけない”という焦燥感や,“ネットを介した友人との付き合いに疲れた”という負担感が生じやすく,さらにそれらを介してネットいじめ加害行動が促進されるという過程が示された。またこうした過程の背景には,現実生活における友人関係の形成・維持に対する忌避感が介在していた。 一方,実験的アプローチにおいては,3名の成員による集団を形成し,インターネットを介してのみ接触するという環境下での実験を実施した。そして,3日間にわたって,同じメンバーで一つの作品を共同創作するという課題に取り組むよう求めた。3日間を経て創作された作品に対する,第三者からの評価を比較した結果,集団成員が同じ時間帯に集合し,同期的・集中的に接触しながら創作課題に取り組む条件よりも,集団成員それぞれが非同期的に接触しながら創作課題を行い,各自の作業を累積していく条件の方が,独創性・調和性ともに高く評価されることが示された。 したがって平成25年度の研究成果を総括すると,情報通信機器そのものへの反復的接触は,焦燥感や負担感の喚起を介して攻撃行動をもたらす可能性があるものの,その接触のスタイルによって,効果は大きく異なることも明らかとなった。
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Research Products
(9 results)