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2012 Fiscal Year Research-status Report

関係性の類型と拡張自己評価維持過程

Research Project

Project/Area Number 23530816
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

村本 由紀子  東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00303793)

Keywords心理的関係性 / 達成原因帰属 / 国際情報交換(アメリカ合衆国)
Research Abstract

第一に、前年度の日米比較調査によって見出された他者との心理的関係性の多次元モデルについて、その妥当性の検証と理論の精緻化を目的として、日・米・インドネシアの3カ国の新たなサンプルに対する国際調査を実施した。スタンフォード大学心理学部のHazel Rose Markus教授、同大学院生Lauren Szczurek氏に、共同研究者として協力を得た。前回調査と同様に、回答者の周囲にいる代表的な他者(父母、友人、同僚、初対面の他者)との関係を多角的に評定してもらった。個人内相関に基づく多次元尺度法を施し、心理的関係性の質に関する構成要素を確認したところ、文化を超えた共通の関係性クラスターが確認され、その構造は前回調査と整合するものであった。比較分析の結果、日本のサンプルにおいては親密な他者との関係性には心理的一体化を基盤とする関係と互恵性を基盤とする関係の2タイプがあり、いずれも心理的距離は近いものの内実は一様ではなかったのに対し、アメリカのサンプルにおいてはそのような質的な区別はなく、いずれの関係性の側面においても心理的距離が近いほど得点が高く、遠いほど得点が低いというシンプルな一次元的関係が確認された。
第二に、他者の行動の一貫性に関する認知に関する国際比較実験を実施(上述のMarkus教授・Szczurek氏らを主研究者とする共同研究に参画)し、ここで見出されたサンプル間の差異を、上述の他者との心理的関係性によって説明する仮説モデルの検証を試みた(継続中)。
第三に、申請者が別途従事している2つの共同研究(離島漁村をフィールドとした疑似家族に関する研究プロジェクト、集団規範の生成と維持に関する研究プロジェクト)においても、他者との関係性を多角的に検討するうえで有用な知見が見出されているため、本研究の視点と関連させながら分析を行った(継続中)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、従来の比較文化心理学研究において明らかにされてきた欧米人と東アジア人の心理・行動傾向の文化差について、関係性の視点から統合的に説明することを目的として行われている。具体的には、(1)さまざまな心理プロセスに関して見出される文化差の背景には、それぞれの社会において優勢な関係性の違いがあること; (2)関係性が異なれば、日本人であれアメリカ人であれ、それに応じて異なる心理プロセスを生起させる、という点を明らかにすることを目指している。
前年度に見出された心理的関係性の多次元モデルが、当該年度に実施した再調査においても確認されたため、第二段階として、同モデルを対人認知の文化差の説明因として用いる試みを開始することができた。以上より、現在までのところ、本研究はおおむね当初予定通りの成果を生んでいると考えている。

Strategy for Future Research Activity

既に得られている国際比較実験のデータ分析を進め、達成原因帰属、ならびに他者の行動の一貫性に関する認知と、他者との心理的関係性との関係について吟味したい。
また、大学生のみならず、さまざまな世代にわたる広範囲のサンプルに対して、関係性の質的な違いをモデル化するための調査研究を実施し、知見の一般化可能性を検証し、心理的関係性に関する体系的なモデルを構築したい。
さらに、申請者が別途従事している共同研究(離島漁村をフィールドとした疑似家族に関する研究プロジェクト、集団規範の生成と維持に関する研究プロジェクト)との連携を、引き続き強化したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

一般サンプルを対象とした社会調査実施のための費用を支出する計画のほか、国内外での学会における成果発表等のための出張旅費が必要となる見込み。また、実験室実験のセットアップに必要なコンピュータ関連機器、データ分析のための統計ソフトの購入等も予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 離島漁村『寝屋慣行』の維持と変容:社会心理学からのアプローチ2013

    • Author(s)
      村本由紀子
    • Journal Title

      文化交流研究

      Volume: 26 Pages: 1-10

  • [Presentation] 規範の測定と可視化への再挑戦(ワークショップ企画)

    • Author(s)
      木下冨雄・村本由紀子・山口裕幸
    • Organizer
      日本社会心理学会
    • Place of Presentation
      筑波大学(茨城県)
  • [Presentation] リターン・ポテンシャル・モデル再考(ワークショップにおける話題提供)

    • Author(s)
      村本由紀子
    • Organizer
      日本社会心理学会
    • Place of Presentation
      筑波大学(茨城県)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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