2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530817
|
Research Institution | Fukushima College |
Principal Investigator |
内藤 哲雄 福島学院大学, 福祉学部, 教授 (20172249)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 対人コミュニケーション / 異文化間コミュニケーション / コミュニケーション・スキーマ / PAC分析 / 留学生 |
Research Abstract |
文化が異なるとき、単に言葉や仕草が異なるだけでなく、その背後には対人コミュニケーションを進めるためのスキーマ(どのようにあるべきかの方向づけ)そのものが異なることが推測される。日本人と外国人との相互理解や人的交流に際しては、対人コミュニケーションの背後に存在するスキーマを解明し、これに基づいての相互理解や相互交流が不可欠であるといえよう。日本人のコミュニケーション・スタイルに気づきやすいのは、異文化で生活し母国の様式との差異や違和感を感じている外国人留学生であろう。そこで彼らを主たる対象としてPAC分析することにより、対人コミュニケーション・スキーマの差異を解明することが本研究の全体目的である。本研究のPAC分析では、(1)日本人とのコミュニケーションの際に、誤解や葛藤を生じやすい話し方や言葉遣い、身振りや表情、防衛や対処行動に付いての連想を引き出す刺激文、(2)日本人の話し方や言葉遣い、身振りや仕草、表情、(3)母国のコミュニケーションの特徴について3回実施される。平成23年度は、(1)~(3)の連想刺激文を開発し、パイロット研究を実施することであった。ロシア人とスリランカ人のPAC分析が実施され、ロシア人被検者は、日本人のコミュニケーションはマニュアルに沿った規則的(形式的)、機械的であるとのスキーマを示した。他方スリランカ人被検者は、母国では相手の立場に立って親しさを込めて話すのに、日本では建て前と本音があり、気楽に話せず、ありのままの自分を表現できないとのスキーマが存在することが示された。これらの成果は研究の方向性がおおむね妥当であることを示唆するが、(1)については、個人的な問題との関連での連想に流れる傾向が窺え、連想刺激を再検討する必要のあることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で実施される3種の対人コミュニケーションについてのPAC分析うち、日本人の特徴と母国の特徴を検討するための連想刺激文は有効であったが、「日本人とのコミュニケーションでのトラブル」については、個人的な問題内容を反省する傾向があり、トラブルから「違和感」に修正することが必要となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年(初年度)の研究成果を学会発表するとともに、論文の投稿を実施する。また、3つのうち1つ修正したものを合わせて、多数の留学生を受け入れている大学に出向き、本格的に調査活動を推進する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究成果の学会発表するための旅費等に使用。留学生を多く受け入れている他大学は、遠隔地にあり、PAC分析には多くの時間とするため、旅費や宿泊費にかなりの経費を必要とする。また、海外での教育経験を持つ日本語教師等からの情報収集や彼らのPAC分析を実施する。
|