2011 Fiscal Year Research-status Report
学校に対する保護者の公正感を規定する要因に関する研究
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23530822
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20340367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 祥子 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70452703)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学校に対する公正感 / 公正感 / 学校 / 保護者 |
Research Abstract |
本年度は、第1に公正感の概念及び測定尺度に関する先行研究の調査を行った。保護者からの理不尽な要求、抗議に関する事例を新聞(読売新聞, 2007)などから検討すると、手続き的公正基準(Leventhal, 1980)に関わるものが多くを占めていることがわかった。手続き的公正概念の測定については、Blader & Tyler(2003)のものなどがあるものの、学校に対する公正感とは内容が異なっており、Leventhalの基準を参考にしながら、独自の尺度開発が必要なことがわかった。 第2に、公正感認知を規定する要因について検討を行なった。今在(2010)によれば、地方公共団体に対する公正感には、市職員および市長に対する公正認知、そして認知者側の年収などが関わっていた。本研究においても、保護者側の様々な要因を考慮に入れる必要性が確認された。 第3に、大学生を対象として、学校における不公正感認知の源になる教師の行動、そして実際の事象について探索的な調査を行なった。不公正と感じられそうな行動リストを作成し、大学生を対象に不公正と感じる程度を回答させた。いじめと疑われる事象にすぐに対応しない、生徒同士の喧嘩に介入し一方を強く叱責するなどの明確な「被害」が想定されそうな事象には強い不公正感が認知されることが分かった。一方、学級内での指示の非一貫性などについては、中間的な「どちらともいえない」が多く回答されていた。経験した不公正な事象についての自由記述では、生徒に対する不公平な対応が多く挙げられており、不公正を強く認知させる対象として不公平な指導があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度予定していた公正感の概念整理、尺度の項目収集などは進展した。また、予備調査を実施することで、不公正感を強く惹起させる行動についても一部明らかになった。しかし、23年度着手し始める予定であった本調査の実施には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに実施した予備調査の結果を参考にして、量的な調査を実施する。そして、当初の研究計画どおり、公正感認知の構成過程に関わる実験研究を実施する予定である。実験のデザインはおおむね交付申請書にしたがって実施する予定である。実験参加者を大学の授業等で募集し、グループ単位での実験を実施することを計画している。それらの調査と実験の結果から、公正感の認知に関わる要因を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「11.現在までの達成度」で記載したとおり、23年度に着手し始める予定であった本調査の実施には至っていない。次年度使用額は、主にこの研究の進捗状況に伴って生じた研究費であり、これは以下の24年度使用計画と合わせて適正に執行する見込みである。第1に量的な調査を実施するために、郵送料あるいはインターネット調査費用を執行する予定である。第2に研究の成果報告、あるいは資料収集のために、旅費を執行する予定である。第3に研究の資料整理や、実験等の補助のために謝金を執行する予定である。第4に研究に使用するための消耗品を補充するために、物品費を執行する予定である。
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