2012 Fiscal Year Research-status Report
学校に対する保護者の公正感を規定する要因に関する研究
Project/Area Number |
23530822
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20340367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 祥子 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70452703)
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Keywords | 公正感 / 学校 / 保護者 / 家庭環境 |
Research Abstract |
第1に学校に対する公正感を検討する方法を検討した。昨年度に進めた公正感の概念分析によると、手続き的な公正(Leventhal, 1980)が人の公正感にとって重要であることがわかった。学校を対象とした公正感を考える場合には、不公正が感じられやすい事象を取り上げて、そうした事象において、1)学校がどのような意思決定手続きをとったかについての情報を、2)どのように提示することが保護者の公正感・不公正感に関わるのかを検討することが、現実的な応用範囲も大きく、有意義であると考えられた。 第2に、実際にどのような事象を、学校に対して人々が不公正であると認知しがちなのかについて、大学生151名(平均年齢19.57、SD=1.49)を対象に調査を行った。その結果、次のような結果が得られた。1)いじめやけんかといった、人間関係に関わる対応の拙さには、不公正が高く知覚される傾向が見て取れた。2)「4)評判のよくない先生が自分の子どもの担任になる」といった、運営上避けられない事象についても、不公正を認知する人は10%を超えており、受益者側の公正認知の難しさがうかがわれた。3)男女差を検討したところ、「6)体育で危険がある競技を生徒にさせること」にのみ有意差(t(149)=2.69, p<.01)があり、男性は女性に比して公正と感じる程度が高かった。 第3に、保護者側の要因として、家庭環境の調査結果を検討した。小学生836名を対象として調査した結果、家庭でのコミュニケーション頻度や朝食の摂取頻度が学業成績と関連があることがわかった。学業成績の良好さは、保護者の学校に対する満足を高めると考えれば、家庭環境がネガティブであることは、学校に対する不公正感を高める可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を実施し、どのような事象が、学校において不公正感を喚起しやすいのかが検討された。また、環境的な要因として、保護者を含めた家庭環境に関する研究を行い、家庭の規律性といった要因が、間接的に公正感に影響する可能性が考察された。 これらの要因を含めた調査のデザインも検討され、実施できる段階に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでで実施してきた調査結果を基に、量的な調査を実施する。当初に予定した公正感の構成過程に関する実験については、調査によって明らかになる可能性があるので、調査結果を検討して、計画通りの実験を実施するか、他の要因の影響を検討するための調査・実験を行うかを選択する。 これまでの調査結果とあわせて、調査を実施することで、保護者の学校に対する公正感の認知の構成を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
公正感を規定する要因に関して、ここまでの検討については、大学生などからデータを得ることができ、未使用額が生じた。次年度は、この未使用額を次年度交付される研究費とあわせて、次のように使用する。 第1に、量的な調査を行うために、インターネット調査費用を執行する。 第2に、研究の成果報告、あるいは資料収集のために、旅費を執行する予定である。 第3に、研究の資料整理や、実験等の補助のために謝金を執行する予定である。 第4に、研究に使用するための消耗品を補充するために、物品費を執行する予定である。
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Research Products
(2 results)