2013 Fiscal Year Annual Research Report
討論型世論調査による一般市民の裁判員制度の理解と支持に関する研究
Project/Area Number |
23530828
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
黒澤 香 東洋大学, 社会学部, 教授 (90205237)
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Keywords | 裁判員制度 / 討論型世論調査 |
Research Abstract |
今年度はおもに2つのことを中心に研究を推進した。まず招聘であるが、カリフォルニア大学サンタクルズ校のフクライ・ヒロシ教授を2013年の年末に呼んだ。同教授の専門は社会学だが、データ分析を主とした実証研究を行っており、社会学であるから質問紙調査を中心に研究を進めているという。今回の講演はフクライ氏の研究のうち陪審制度に関するものを、日本の裁判員制度と関連して、話してもらった。また同氏には日本の「検察審査会」参加者の質問紙データがあるので、これも少し扱ってもらった。(個人名の明記について先方の許可を得ている。) もう1つのほうは一般市民を対象に研究を行うものである。ただ普通、世論調査は実験操作をしない。多くの調査会社が「実験」つまりランダムな割り振りの形式はとるが、その参加者数は少なく、その人たちに1カ所に集合してもらうことが多く、高費用であった。結局、費用の面で折り合い、比較的参加者の多い(N>100)会社を選んだのが初秋であったが、いろいろなことがあり、年が明けてデータを取るようになってしまった。 また、今回の「実験」では参加者は一般人だけで、条件は「裁判AかB」x「人数の多少」となった。すなわち、2つの裁判と、参加者が多いか少ないかである。参加者は1カ所に集合せず、自宅からインターネット実験の形式で行った。裁判員制度の実験とするには裁判官役が必要であるが、今回は間に合わずに、一般人だけの「陪審制」として、実験を行うことになった。裁判官役として、元裁判官でよいのかどうか、弁護士がその役割を果すのかどうか、今後検討する必要があろう。
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