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2012 Fiscal Year Research-status Report

ミス・コミュニケーションの社会心理学的研究

Research Project

Project/Area Number 23530831
Research InstitutionAichi Gakuin University

Principal Investigator

岡本 真一郎  愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (80191956)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 吉川 肇子  慶應義塾大学, 商学部, 教授 (70214830)
Keywordsミス・コミュニケーション / 社会心理学 / 語用論 / リスク・コミュニケーション / クライシス / 推論 / 透明性錯覚
Research Abstract

リスク・コミュニケーション,クライシス・コミュニケーションにおけるミス・コミュニケーションに関連して基礎的,応用的な側面から次の点を検討した.基礎的な側面は岡本が,応用的側面は吉川が主導した.
1.先行研究の知見の利用可能性,すなわちそれらの中で,今回の問題に適用できるものにはどのような理論や検証結果があるかについて,引き続き検討を行った.
2.推意に関して,Levinsonの推意,I推意,M推意の理論をに検討を加えた.
3.現実場面でのミス・コミュニケーション,透明性錯覚の問題への手がかりを得るために,推意の理論が,東日本大震災に引き続いて生じた福島第一原子力発電所の事故において関係者が示したさまざまなコメントがどのような推意をもたらすかに関して議論し,あるべきコミュニケーションの姿について考察した.
4.クライシス・コミュニケーションのおける言語諸表現が受け手にどのような影響を与えるかに関して調査的研究を行った.とくに,言語表現から生ずる推意に関して,インターネットを利用した実験的研究を行った.「ただちに」「結果的には」のような表現がどのような推意をもたらすかを検討した.「放射線量が増えれば影響がある」「浴び続ければ影響が出てくる」という推論の度合いが高く,「今の線量でも時間が経つと影響が出てくる」「直ちに影響を与えるものではない」のという推論の度合いは低かった.「結果的には」を挿入した条件のほうが,「心から謝罪したい」が本心を表している程度が有意に低く,「運が悪かった」「自分たちが悪かったのではない」が本心を表している程度が有意に高いと見られていた.
5.このほかの関与権限が関わる言語表現についても,推意の可能性を検討した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

クライシス・コミュニケーションにおけるミスコミュニケーション,透明性錯覚の問題について研究を進めるために,先行研究の整理が必要と考えていたが,この点に関しては昨年度に引き続いてかなり進展させることができたと考える.とくに,言語の特徴に関してはとくに過去の研究の展望はかなり進捗した.
実験計画法を取り入れた調査研究により,確率表現に関しては,言明内容による差や性差が確認できた.推意が生ずる表現に関しては,状況による差や性差の有無などが確認できた.これらは,幅広い地域,年齢層,職業を対象としているので,結果を一般化して評価することが可能である.
ただ,送り手と意図と受け手の解釈の齟齬,透明性錯覚の問題に関しては,さらに実験や調査を行うことで検討を進めていく必要があると考えている.
また,リスク・コミュニケーションの対象についても,さらに幅広く検討を進める必要があると考える.

Strategy for Future Research Activity

次年度は最終年度に当たるので,これまでの研究で不十分であった部分を補うとともに,全体をまとめて,クライシス・コミュニケーションにどのように対処するかについて方策も示す必要があると考える.具体的には以下の点を検討する.
1.先行研究について,さらに検討する.
2確率表現や推意の受け取られ方に関して,補足的な調査,実験を行う.これまでの研究結果を様々な状況にどの程度一般化できるか,伝え手の特性と受け手の特性の相互的な影響などを検討することを考えている.
3.伝え手の意図と受け手の解釈のずれや透明性の錯覚について,実験的な検討を試みる.伝え手の文脈と受け手の文脈の不一致の影響などを検討の対象とすることを考えている.
4.研究の成果をまとめて,先行研究での知見も念頭に置き,クライシス・コミュニケーションにおいてミス・コミュニケーションを避けるためにはどのような点に留意すべきかに関して,具体的な指針を検討する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

主要なものとして,以下を予定している.1.先行研究の検討のための,内外の諸文献の購入費.2.インターネットを利用した調査,実験的研究のための経費.
3.データを分析していくためのコンピュータソフト等.4.研究代表者と研究分担者の打ち合わせのための旅費.5.関連学会における成果発表のための旅費.
6.データ整理等の補助者への謝金.

  • Research Products

    (7 results)

All 2013 2012

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results) Book (3 results)

  • [Journal Article] 心理学の視点から見たリスク問題2012

    • Author(s)
      吉川肇子
    • Journal Title

      ヒューマンインターフェース学会誌

      Volume: 14(1) Pages: 21-24

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] リスク・コミュニケーションの言語の分析-どのような視点が可能か-2012

    • Author(s)
      岡本真一郎
    • Journal Title

      愛知学院大学論叢心身科学部紀要

      Volume: 8 Pages: 1-5

  • [Journal Article] Localization of Risk Communication Tools: Two Case Studies2012

    • Author(s)
      Kikkawa, T. & Suzuki, S.
    • Journal Title

      Journal of Disaster Research

      Volume: 8(1) Pages: 90-94

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] リスク・コミュニケーションからの推論2012

    • Author(s)
      岡本真一郎・吉川肇子
    • Organizer
      日本心理学会第76回大会
    • Place of Presentation
      専修大学
    • Year and Date
      20120911-20120913
  • [Book] 言語の社会心理学 伝えたいことは伝わるのか2013

    • Author(s)
      岡本真一郎
    • Total Pages
      277
    • Publisher
      中央公論新社
  • [Book] 新装増補 リスク学入門(4)社会生活からみたリスク (分担執筆 リスク・コミュニケーション)2012

    • Author(s)
      吉川肇子
    • Total Pages
      127-147
    • Publisher
      有斐閣
  • [Book] リスクの社会心理学 (分担執筆 リスク・コミュニケーションー「リスク伝達」を超えて)2012

    • Author(s)
      吉川肇子
    • Total Pages
      195-211
    • Publisher
      有斐閣

URL: 

Published: 2014-07-24  

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