2011 Fiscal Year Research-status Report
動画シンボルを社会生活のさまざまな場面で活用するための認知心理学的応用研究
Project/Area Number |
23530833
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
井上 智義 同志社大学, 社会学部, 教授 (40151617)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 言語 / コミュニケーション / 記憶 / 対話 / 視覚シンボル / 応用研究 / 語用論 |
Research Abstract |
語用論に関する基本的な知見をレビューするとともに、具体的な日常生活のさまざまな領域において、これまで言われていることが現実的にどのように応用可能かという点について検討した。このことは、直接、本研究に一見関係がないように思われるが、コミュニケーションの場面で、どのようにして誤解が起こり、話し手の意図が、相手にうまく伝わらないかを考察する上では欠くことのできない準備作業であると思われるためである。 また、実際の具体的なデータとしては、外国人留学生と日本人との対話データを収集し、誤解の諸要因を分析することから、それらの誤解を防ぐための、シンボル使用の検討に入った。日本語を母語としない外国人留学生は、発音面において正確な単語の発音が難しいなどのことにより、聞き手が誤解するような音韻論的誤解があることが、本研究から明らかにされた。また、相手が当然知っていると思っているような知識の欠如からも、誤解は頻繁に観察できた。このことは、単に交わされる言語表現上の問題だけではなく、双方が前提と考えている相互の知識の共有の問題がいかに重要であるかを改めて認識させる結果となった。 これらのことは、これまでのいわゆる絵を使用した「指差しコミュニケーション」ではなく、まさに交わしている会話のトピックにまつわる知識の一部を、視覚シンボルで表現することが、スムーズな会話には、必要であることを示したものとも考えられる。 さらに、視覚シンボルの研究やそのソフト化については、複数の専門家の助言を受け、会話の分析研究と並行して準備を進める結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書には、医療場面、空港カウンター、大学での留学生支援の3つの場面を、具体的な会話のおこなわれる現場ととらえていたが、実際には、そのひとつの場面でしかデータを収集することができなかった。その理由としては、会話のデータ収集とその分析に予想以上の時間を費やしたことと、語用論の基礎研究に要した時間を長かったことが考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
より緻密な研究を進めていくためには、具体的な会話がおこなわれる場面を、再度精査するとともに、もう少し限定した範囲でデータ収集を続けていく必要があるように感じている。また、個人情報やプライバシーの問題で、会話の収録についての理解が得られない部分が多く、単なる日常場面での会話データの収集ではなく、ロールプレイなどの実験的要素を加味したデータ収集の必要性があることも感じている。今後は、これらの点を踏まえて、より現実的な研究へと軌道修正する必要があるように思われる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は国際心理学会に参加発表するため、その旅費(渡航費)が必要である。また、実験協力者への謝金、データ整理のための謝金などが主たる支出になる予定。
|
Research Products
(3 results)