2012 Fiscal Year Research-status Report
ユーザと製品のインタラクション分析のためのアクト・ユーザ法の開発
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23530840
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
北島 洋樹 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (20234255)
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Keywords | 製品事故 / 誤使用 / 眼球運動座標値 / 再現実験 |
Research Abstract |
製品の使いやすさや、誤使用と製品事故との関係などを考察するには、「何故ユーザはそのように操作(行動)したのかを明らかにすることが重要である。誤使用状態も含めた製品使用中の認知的処理の客観的な指標として、眼球運動の軌跡データが利用できるか否かについて、自動車シミュレータ運転時の眼球運動座標データ(昨年度実施)をカオス分析することで検討した。自動車シミュレータ運転時を取り上げた理由は、自動車も製品の1つであることと、課題中の認知状態の制御についての先行の知見や経験が豊富であることであった。眼球運動データは、シミュレータのボンネットに設置した非接触で座標値を測定できる装置(faceLAB)によって採取した。被験者には先行車に追従しながら、先行車のブレーキランプが光ったらウィンカーレバーで反応する反応時間課題を課した。先行車のブレーキランプが光るタイミングは、先行研究のデータに基づき、最も予期がしづらく、また、注意力が持続しにくい時間間隔とした。約10分単位の運転を繰り返し、様々な覚醒度や注意力の状態となると予測される実験的課題を実施した。 採取した2軸座標データを、カオス解析ソフト(既存だが、今回使用するPCの更新に伴い、ソフトのバージョンアップを実施)により分析し、リアプノフ指数などを指標とした検討を実施した。 結果として、予想外の状況が起きた時(予期を裏切る状況の変化や他車の反応など)、判断の迷い時、(眠気とは関係なく)注意集中が落ちている時、覚醒低下時、などの場面で、眼球運動軌跡データのパターンわけができる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2012年度後半には、実際の製品を現実の状況に近い条件で使用させ、使用時の迷いや、間違った操作を再現させる実験を計画していた。新規に開発された携帯型データ提示装置(市販品)を開発している企業の協力も得て、実際の職場において実態を観察し、その結果に基づいた実験室における再現実験を実施することを計画していたが、当該製品の普及が予測より遅れ、実使用場面の実態データの収集が不十分で製品使用の「シナリオ」を作成するのには無理があることが判明した。そのため、実験実施を延期して、製品の現場への普及を待ったが、その間に、この企業が製品の販売プロジェクト自体を中止する決定をしたため、現場確保、実験条件整備などの研究への協力を得ることが困難となり、2012年度は実験を中止せざるを得なくなった。当初計画していた再現実験費用(約150万円)も未使用となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度の当初計画において、協力の内諾を得ていた製品の開発企業がこの製品の販売プロジェクト自体を中止する決定をし、今後の研究への協力を得るのが難しい状況となった。 そこで、今年度は、新たな協力企業(製品)を模索しながら、現実の使用実態に基づいた誤使用再現実験を再計画し、実施する。 2012年度の実験中止により、全体的な達成が遅れているので、研究期間を1年延長することも視野に入れて、今後の全体の計画を再検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度分と合わせて、使用できる研究費は約220万円である。延期状態となっている、製品事故の再現実験に当初の計画通り、150万円ほど使用する。主な内訳は、研究対象となる製品の購入費やレンタル費、実験環境の整備費、被験者謝金である。データの解析、取りまとめ等のための謝金、発表や情報収集のための学会活動、などに残りの70万円ほどを使用する。
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