2013 Fiscal Year Research-status Report
ユーザと製品のインタラクション分析のためのアクト・ユーザ法の開発
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23530840
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Research Institution | 公益財団法人労働科学研究所 |
Principal Investigator |
北島 洋樹 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (20234255)
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Keywords | 製品安全 / インタラクション分析 / アクト・ユーザ法 |
Research Abstract |
製品事故における「なぜその行動をしたのか」という人間要因の発生の仕組みを解明することを目的に、人間要因も含めた事故再現実験の方法(アクト・ユーザ法)の開発を進めている。2012年度は実際の労働現場での実例に基づいた、現場での実験を計画した。協力してもらえる企業も見つかり、事故事例の分析等の準備が進んだところで、現場側の都合で実験が実施できないことになり、実験の実施を延期せざるを得ない状況となった。2013年度は新たな協力企業の模索に、時間がかかった このような事態も踏まえて、大阪教育大学高橋誠教授に、研究内容や今後の視点についてのアドバイスを求めた。まずは、製品事故における人間行動を行動分析学的に分析し、製品事故防止策につなげようとするこれまでの研究について、概要を高橋教授に説明した。高橋教授からは、産業心理学、行動科学の観点から、製品事故を含めて「安全」は社会的背景を考えることが重要であること、例えば、犯罪(人間の故意の行動)には、格差社会など社会の問題も影響すること、それに対向するためのセキュリティーが今後は学問的な意義をもってくるのではという見解が示された。また、影響の時間軸を考慮すれば、安全と健康は切り離せない問題であること、およびこのような研究における研究倫理と利益相反などについて、議論し、示唆を得た。本研究では、実証実験を計画しているが、製品事故を含め、実際の使用者(作業者)による検証が有用であることを確認し、高橋教授にも協力してもらえる企業の紹介を依頼した。 その後、協力してもらえる可能性のある企業がみつかり、その企業内での事故・トラブル事例から、再現実験にふさわしい事例として、配線の誤接続、誤切断を取り上げることして、社内報告書の記述より、事故内容を分析し、アクション・シナリオの作成をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2012年度に途中まで進んだ実験計画が、間際になり協力企業の都合により実施できないこととなった。その後、新たな協力企業を探すのに時間がかかり、2013年度は当初予定した実験が実施できず、実験費用および分析、成果作成の費用が未使用となった。そのまま未使用額を実験と分析等の経費に充てることとして、1年間の延長を申請した。 なお、2013年度までの経緯を踏まえて、万が一現在内諾を得ている企業側の協力が結果的に得られないという事態に備えて、一般的製品を用いた実験室実験にも対応できるように計画を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に則り、アクション・シナリオを用いた人間要因も含めた事故再現実験を実施する。現時点では、労働現場における事例の再現実験を優先として、配線作業における「誤接続」「誤切断」事故をとりあげる予定である。被験者は実際の作業者として、実験場所も実際の工事現場、あるいは工事現場を可能なかぎり忠実に再現した実験室で実施する。 実験実施が遅れ気味であるので、データの分析、考察を早期に進めることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度に実際の労働現場での実例に基づいた、現場での実験を計画した。協力してもらえる企業も見つかり、準備が進んだところで、現場側の都合で実験が実施できないことになり、実験の実施が伸びた。そのため新たな協力企業を探すこととしたが、新たな協力企業を探すのに時間がかかり、実験実施までには至らず、2013年度は実験費用および分析、成果作成の費用が未使用となった。 25年度終盤になり、協力可能性のある新たな企業が見つかり、現在実験実施の準備を進めている。そのまま未使用額を人間要因も含めた事故再現実験の実施と分析等の経費に充てる。実験の実施に約160万、分析・成果発表等で約40万の使用を予定している。 なお、2013年度までの経緯を踏まえて、企業側の協力が結果的に得られないという万が一の事態に備えて、一般的製品を用いた実験室実験にも対応できるように計画する。
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