2014 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザと製品のインタラクション分析のためのアクト・ユーザ法の開発
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23530840
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Research Institution | 公益財団法人労働科学研究所 |
Principal Investigator |
北島 洋樹 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (20234255)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 製品安全 / インタラクション / アクト・ユーザ法 / ヒヤリ・ハット報告 |
Outline of Annual Research Achievements |
製品事故におけるユーザ行動について、「なぜその場面でそのように行動したか」という人間要因の発生の仕組みを解明することを目的に、人間要因も含めた事故再現実験の方法(アクト・ユーザ法)の開発を目指した。アクト・ユーザ法とは、事故事例から作成された「アクションシナリオ」に基づき、被験者がそのユーザを演じることで、「何故(不合理と思われる)行動をしたか」に関する要因を見つけ出す方法である。アクションシナリオは、事例の記述を起承転結構造と随伴性ダイヤグラムに基づき編集したものである。当初はこのように一般的な製品事故場面を想定して、アクションシナリオの作成を進めたが、一般事故事例は、その実態の情報が少なく、また様々な要因が関連しており再現実験が難しいことが判明した。 そこで、研究の目的は不変であるが、企業における安全活動の1つに位置づけられる「ヒヤリ・ハット」事例(ニアミス)を新たなターゲットとした。ヒヤリ・ハット事例の利点は、企業内で対策に利用するために報告フォーマットが定められており、また事故寸前の事態であるために、その状況が素直に記述されている例が多いことである。 ある企業(建設業)の安全衛生担当者の協力を得ることができ、その企業におけるヒヤリ・ハット事例(有効回答数172枚)のデータを年齢層別、屋内/屋外作業別、ヒヤリ・ハットの内容別に分析した。屋内/屋外作業に「転落・転倒」が共通した要因であったので、、作業者の心身機能等との関連をさらに分析した。その結果、作業のやりにくさ・バランスを崩した等の作業行動と、時間的切迫による感情・情動が行動の影響要因であることが示唆された。また行動の背景には危険感受性が深く関わっていることが示唆された。これらの行動の原理の解明(ヒヤリ・ハット再現実験の準備)と共に、解明された原理に基づく現場で出来る教育方法の検討を進めた。
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