2014 Fiscal Year Research-status Report
家計を中心とした経済リテラシーに関する生涯発達的研究
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23530842
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60352548)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | ファイナンシャル・リテラシー / 家計 / 夫婦 / 子育て |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに投稿準備が進められていた,ファイナンシャル・リテラシーに関するレヴュー論文について,ファイナンスの専門家である北海学園大学経営学部の赤石篤紀教授に事前査読をいただくとともに,パーソナル・ファイナンスにおけるリテラシー概念について有益なコメントを頂戴した。それらを踏まえ,同論文を改稿し,現在,投稿中である。その成果として,ファイナンシャル・リテラシーそのものの尺度ではなく,関連する尺度を開発する方がより夫婦研究に寄与できる可能性が示唆された。その他,本調査に備え,先行研究におけるファイナンシャル・リテラシーに関する尺度の使用許諾を得た。 また,先の家計研究のデータを基にした「育児期夫婦における家計意識・金銭感覚と子育ての協同性との関連」研究を日本発達心理学会第26回大会において発表した。この研究では,未就学児を抱える子育て家族を対象に,夫婦それぞれが持つ家計意識と金銭感覚が,夫婦二人で子どもを育てているとの認識(子育ての協同性)にどのように関連しているかを検討し,夫婦ともに,家計の透明性が高いほど子育ての共同性も高いこと,「稼ぎ手の権威」や「家計の不自由さ」が高いほど協同性が低いことが示された。 夫婦関係に関する事項としては,これまでの研究の成果の発表として,宇都宮博准教授(立命館大学)とともに「夫の妻の生涯発達心理学(仮)」を刊行するよう担当章を執筆するとともに,編集作業を行った。また,これまでの研究の成果の発表として,子育てにおける「親の発達」に関する依頼原稿を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ファイナンシャル・リテラシー概念の複雑さ,関連する概念の広範さから,昨年度までにも遅れていたが,レヴュー論文の執筆において,新たにファイナンスを専門とする分野の先生より助言をいただき改稿を行ったため,レヴュー論文の執筆が大幅に遅延している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在投稿中のレヴュー論文をさらに洗練させていくとともに,夫婦研究に寄与するファイナンシャル・リテラシーに関連する尺度の開発を行い,予備調査,ならびに本調査の企画,実施を進める。さらに,得られた結果については,国内外の諸学会において発表することで,年度内での研究計画の推進は可能となるであろう。具体的には,予備調査6月,本調査11月を予定している。この予備調査,本調査の実施にかかる費用が翌年度に持ち越されている。 予備調査,本調査には調査会社に委託することにより,広く成人を対象とする。また,ファイナンシャル・リテラシーについて国内ではほとんど研究が見られないため,海外の国際学会に参加し情報を収集する。 また,必要に応じて,夫婦関係のシンポジウムなどを国内諸学会において開催していく。
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Causes of Carryover |
遅滞していたファイナンシャル・リテラシーのレヴュー論文の執筆が,ファイナンスの専門家による助言に基づき,大幅に改稿となったため,さらに遅滞を生じさせ,調査の実施を阻害したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの未使用額は,予備調査,本調査の実施とその成果発表に関するものであり,研究期間延長に伴い平成27年度に支弁する。
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Research Products
(1 results)