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2011 Fiscal Year Research-status Report

幼児期から児童期にかけての社会性の獲得に関する発達的検討:発達の多様性の観点から

Research Project

Project/Area Number 23530843
Research InstitutionMiyagi University of Education

Principal Investigator

伊藤 順子  宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10331844)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 越中 康治  宮城教育大学, 教育学部, 講師 (70452604)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2015-03-31
Keywords社会性 / 道徳的判断 / 向社会的判断 / 仲間関係 / 環境移行期
Research Abstract

家庭,教師,仲間という環境の中で,幼児期から児童期の環境移行期に,いかに社会性を獲得し,それが対人関係や学習場面でどのように作用するのかを検討した。研究1・2では,幼児(4歳・5歳)を対象とし,向社会的判断と,親密性・傍観者・仲間関係との関連を検討した結果,4歳から5歳にかけて良好な仲間関係を気づいている幼児は,より内在化された動機づけに基づいて向社会的判断を行っていること,特に,傍観者のいる場面で見知らぬ人を助けるという判断を多く行うことが示された。研究3では,社会性と仲間関係との関連を検討した結果,4歳から5歳にかけて継続した仲間関係を築くことができなかった幼児は,5歳児時点で不注意や多動といった問題行動がみられることが示された。幼児は,日常生活における仲間との相互作用の中で情緒的な結びつきを深め,対人行動である向社会的行動を学習し,社会性を培っていることが示唆された。研究4では,小学1年生(H19年度からの追跡調査群)を対象に,仲間関係,道徳判断,社会的スキルについての調査を行った。また,実際の学習場面での観察調査を実施した。現在,H19年度からのデータとともに発達と学びの連続性と多様性について分析中である。研究5では,食の自己管理(好きなお菓子ばかり食べる,嫌いな野菜を食べない)に関する幼児の善悪判断に及ぼす権威(親の容認や叱責)の影響を検討した。その結果,これらの自己管理違反について,幼児は権威依存性がないと判断している可能性が示唆されるとともに,4歳児よりも5歳児がより悪いと判断することが示された。研究6では,他者を気遣って嘘をつくことと,嘘をつかずに真実を告げることのそれぞれについて,大人と幼児の善悪判断を比較検討した。その結果,大人が嘘を許容するのに対して,5歳児はむしろ真実を告げることを良いと判断することが示された(4歳児はいずれも悪いと判断した)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度は,研究初年度ということもあり,調査資料の作成に時間を費やしたが,おおむね計画した調査を,幼児・児童を対象に実施した。平成19年度からの追跡調査群については,データが膨大であるため,データ分析の途中である。道徳的判断に関する調査研究については,道徳領域の違反行為(嘘をつく)と自己管理領域の違反行為(偏食をする)に関する実験材料を作成して,幼児を対象に実験を行い,その結果の分析を終えたところである。さらに,現時点で,これらの実験材料をもとに児童用質問紙を作成し,横断的・縦断的な検討に着手したところである。

Strategy for Future Research Activity

家庭,教師,仲間という環境の中で,幼児期から児童期の環境移行期に,いかに社会性を獲得し,それが対人関係や学習場面でどのように作用するのかを明らかにする。そのために環境移行期にある2つの年齢集団を対象とし縦断調査を行う。第1縦断群(C1)は,H24年度小学2年生 (H19年度からの追跡調査群),第2縦断群(C2)は,H24年度5歳児(H23年度からの追跡調査群)である。C2は,3年保育(3歳入園),2年保育(4歳入園)といった保育歴が異なる幼児で構成されており,家庭から集団生活への環境移行時期の違いによって,小学校への環境移行期の社会性の獲得や学習活動に差異があるか否かを検討するために対象群とした。調査では,学習活動(生活科・総合的な学習),対人関係(仲間関係,教師-子どもの関係),社会性(向社会性,道徳性,自尊感情,社会的スキル)を評定し,多面的・縦断的視点から分析する。 道徳的判断に関する調査研究については,幼児を対象とした実験材料をもとに児童用質問紙を作成し,新規に小学1年生のデータを収集することで横断的な分析・検討を行う。また,平成23年度に分析対象とした幼児(4歳・5歳)について,同一の材料(または幼児用の実験材料をもとに作成した児童用質問紙)を用い,再度調査・実験を行うことで,幼児期から児童期にかけての道徳的判断の発達的変化を縦断的に検討していく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

発達的視点から行動観察,面接調査を,適切な期間内に実施するには,研究協力者が必要である。また,行動関観察データ等の妥当性を検討するために,研究協力者に,分類等の分析を依頼する。さらに,データ分析のための統計ソフトを整える。縦断調査の進捗状況を国内の学会・学会誌で公表する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 攻撃行動に対する幼児の善悪判断に及ぼす攻撃者の権威の影響2011

    • Author(s)
      越中康治
    • Journal Title

      幼年教育研究年報(広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設)

      Volume: 33 Pages: 97-103

  • [Presentation] 学校段階における動機づけの発達:向社会性と動機づけ2012

    • Author(s)
      伊藤順子
    • Organizer
      日本発達心理学会第23回大会
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場
    • Year and Date
      2012年3月9日
  • [Presentation] 道徳性の芽生えを培う上で親は何に配慮すべきか?―高校生及び大学生と子育て経験者の記述の差異―2011

    • Author(s)
      越中康治
    • Organizer
      日本感情心理学会第19回大会・日本パーソナリティ心理学会第20回大会
    • Place of Presentation
      京都光華女子大学
    • Year and Date
      2011年9月4日
  • [Book] 道徳性の発達 深田博己(監修) 湯澤正通・杉村伸一郎・前田健一(編) 心理学研究の新世紀(3) 教育・発達心理学2012

    • Author(s)
      越中康治
    • Total Pages
      16
    • Publisher
      ミネルヴァ書房

URL: 

Published: 2013-07-10  

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