2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児期から児童期にかけての社会性の獲得に関する発達的検討:発達の多様性の観点から
Project/Area Number |
23530843
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
伊藤 順子 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10331844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越中 康治 宮城教育大学, 教育学部, 講師 (70452604)
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Keywords | 社会性 / 道徳的判断 / 仲間関係 / 環境移行期 |
Research Abstract |
家庭,教師,仲間という環境の中で,幼児期から児童期の環境移行期に,いかに社会性を獲得し,それが対人関係や学習場面でどのように作用するのかを検討した。そのために環境移行期にある2つの年齢集団を対象とし縦断調査を行った。第1縦断群(C1)は,H24年度小学1年生 (H20年度からの追跡調査群),第2縦断群(C2)は,H24年度4歳児(H23年度からの追跡調査群)である。C2は,3年保育(3歳入園),2年保育(4歳入園)といった保育歴が異なる幼児で構成されており,家庭から集団生活への環境移行時期の違いによって,小学校への環境移行期の社会性の獲得や学習活動に差異があるか否かを検討するために対象群とした。調査では,学習活動,対人関係,社会性(道徳性)を評定し,多面的・縦断的視点から考察した。 具体的には,研究1では,小学1年を対象とし仲間関係の仲間関係,社会性(生命に関する概念)を検討した。さらに,H24年度は,小学入学といった環境移行期であることを考慮し,追跡調査対象に加え,同学年の児童全体を対象として,学習場面・自由遊び場面における仲間関係を検討した。4歳から5歳にかけて継続した仲間関係を築くことができなかった幼児は,5歳児時点で不注意や多動といった問題行動がみられたが,小学入学といった環境移行の中で,異なった変容傾向が示された。幼児・児童は,日常生活における仲間との相互作用の中で情緒的な結びつきを深め,社会性を培っていることが示唆された。研究2では,小学生を対象に,善悪判断に及ぼす権威(親の容認や叱責)の影響を検討した。H22年度からの追跡群に関しては,幼児期から児童期にかけて善悪判断の変容結果を基に,行動観察記録等から変容について質的分析中である。研究3では,幼児期の社会性の「個性化」「社会化」の過程に着目し,「認知」「情動」「行動」の観点から検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,H23年度(研究初年度)からの調査結果をうけて,おおむね計画した調査を,幼児・児童を対象に実施した。平成19年度からの追跡調査群については,データが膨大であるため,データ分析の途中である。特に,「社会化」には,社会的背景(文化)という要因が関与することを考慮する必要がある。データ分析・考察に関して「震災」といった要因がどのようにかかわってくるのかを検討するため,量的・質的分析の再検討を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
追跡調査群(平成19年度から)については,データが膨大であるため,データ分析を再検討する。特に,「社会化」には,社会的背景(文化)という要因が関与することを考慮する必要がある。データ分析・考察に関して「震災」といった要因がどのようにかかわってくるのかを検討するため,量的・質的分析の再検討を検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ分析等の妥当性を検討するために,研究協力者が必要である。また,これまでの,横断・縦断調査の進捗状況を国内の学会・学会誌で公表する。
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Research Products
(2 results)