2013 Fiscal Year Research-status Report
幼児期から児童期にかけての社会性の獲得に関する発達的検討:発達の多様性の観点から
Project/Area Number |
23530843
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
伊藤 順子 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10331844)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越中 康治 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70452604)
|
Keywords | 社会性 / 学び / 発達 / 学習 / 道徳性 / 動機づけ / 道徳教育 / 道徳的アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究では,家庭,教師,仲間という環境の中で,幼児期から児童期にかけていかに社会性を獲得し,それが対人関係や学習場面でどのように作用するかを検討するためにH23年度から4年計画で縦断調査を行っている。 研究3年目である本年度は,縦断群C1(H23年度小学1年生・H19年度からの追跡調査群),社会性の獲得と学習との関連を,発達と学びの連続性の観点から質的に分析した。具体的には,幼児教育の質や社会性の獲得が,就学後の学力と関連しているというPISAの提言を受け,学校教育における「読解力」と幼児教育インターラクションについて関係論的発達論から分析・考察を行うとともに,領域横断的(社会心理学・認知心理学・臨床心理学)に研究助言を求め,幼児期から児童期にかけての社会性獲得に関する研究課題を再検討した。また,縦断群C2(H23年度4歳児・5歳児)の量的データをから「個」×「環境」モデルを基に考察した結果,幼児期においては,自分(I)・困窮者(YOU)のみならず,第3者(THEY)の存在が向社会性の発達に重要であることが示唆された。この結果は,道徳的アイデンティティの確立における環境の重要性を示唆するものである。 さらに,最終年度(H26年度)の研究のまとめにむけて,向社会性研究,道徳性研究の国内外の動向を探るためシンポジウムを開催し,幼児期から児童期にかけての社会性研究と道徳教育の接点について議論した。シンポジウムでの議論から,今後の課題を考察し,H23年度~26年度にかけての縦断的データ分析とモデル構築への準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象群は,H19年度からの追跡調査群も含まれている。本研究のテーマである社会性の獲得には社会的背景(文化)要因が考慮する必要があることから,本年度は,H24年度(研究2年目)の量的データ分析の結果を受けて,質的データ分析から社会性獲得の多様性を考察し,次年度にむけての研究のまとめを再検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
追跡調査群(平成19年度から)については,データが膨大であること,震災という社会的背景があることから,量的分析の内容を精緻化するとともに,質的分析から社会性獲得の過程を検討する必要がある。「教育」・「発達」という領域を超えた社会文化的観点から,量的・質的データ分析を積み重ね,発達の多様性を踏まえた「個」×「環境」モデルと理論の構築を試みる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
質的分析方法についての指導に人件費・謝金を予定していたが,予定していた時間数に満たなかったため,10,917円分が未使用であった。 今年度は,研究成果を,学会での情報公開のみならず,地域へ発信する予定である。「地域子育て支援への提言」に際して,情報公開方法や内容に関して助言・指導を受けるため,H25年度未使用であった人件費・謝金を充てる予定である。
|
Research Products
(6 results)