2011 Fiscal Year Research-status Report
教職大学院で学部卒業者が獲得すべき教師スキルの解明とそのルーブリックの作成
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23530845
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山口 陽弘 群馬大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80302446)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教職大学院 / 教師スキル / ルーブリック / 質的研究 |
Research Abstract |
本研究テーマの目的は、教職大学院で獲得すべき教師スキルとは何かを、最終的にはルーブリックの形で明示することである。 ルーブリック作成のためには、教職大学院修了者の中で、正事例とも言うべき、教育効果があがった人に焦点を当てて、その正事例の人たちが、何を獲得したかを明らかにしたいと考えた。 そのため、H23年度においては、本学、群馬大学の教職大学院の過去の修了者全員にアンケート調査を実施し、教職大学院で身につけたこと、特に何が今現在の職場にとってプラスになっているかを調査した。これは正事例以外の人も含めて、全体での獲得したことを調査する目的であった。同じく、H23年度の修了者にも同様のアンケートを実施し、二年間での履修状況に関して、何がプラスになったか、さらに何を望むかを調査している。これらの調査結果はすでに回収し、分析中である。 さらに、上記の過去の修了者、およびH23年度の修了者の中で、成績優秀者として、毎年課題研究発表会で各コース一名ずつ選出している。また、文科省や県などから成績優秀者として選出された人たちがいる。こうした教育効果を上げている修了者に対して、一人一時間程度のインタビュー調査を行い、その中で本学教職大学院のプラス面とマイナス面とを詳細に聞くという質的研究を行っている。これこそ、上記の正事例に該当する人たちであり、H23年度では四名に関してインタビューを行ったが、これを継続している最中である。 ほかにも、修了生にとって重要な節目となる課題研究発表会に関して、研究会に一般参加した聴取者(主として学校教育現場の方たち)からも自由記述でアンケートをとり、このアンケート結果も分析し、教育現場にとって必要なことが何であるのかを明確化している。 また、教職大学院での授業すべてに対して、各教員に対し、授業改善報告書を提出を求め、その整理を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに行った調査は、(1)過去の修了生全員へのアンケート調査、(2)H23年度の修了生へのアンケート調査、(3)H23年度の課題研究発表会の一般参加の聴取者のアンケート調査、(4)修了生の中で、成績優秀者へのインタビュー調査の四点である。 この中で、(1)から(3)に関しては、ほぼ予定通りの進行状況で、おおむね順調に進展していると言える。これらの成果のまとめの一部は、教職大学院内部で企画しているFDの一環である授業研究会でも発表し、教職大学院講座内部でも共有されている。 (4)に関しては、一人一人に個別にインタビューを行う必要があり、先方との日程調整などの必要もあり、現時点でまだ四名のインタビューにとどまっているが、そのインタビュー結果はすでにテープ起こしは完了し、子細な分析を行っている。この点でもおおむね順調に進展していると言える。 さらに、他大学(たとえば山梨大学など)における教職大学院の視察も並行して行っており、この点でもおおむね順調に進展していると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べた点で、特に重要な、教職大学院での教育効果を顕著に示してくれた正事例とも言うべき成績優秀者らへのインタビュー調査を継続的に行っていく予定である。これが本年度のもっとも力を入れて行う点である。 それ以外に、H24年度の修了者への二年間の履修達成度調査も、H23年度の結果を踏まえて改良しながら実施する予定である。同じく、課題研究発表会の一般参加者へのアンケートも改良して実施する予定である。 H23年度で行わなかった調査としては、修了生の周囲への調査を実施する予定である。これは上司や周囲からみて、教職大学院修了者が何を獲得したかを明らかにしたい。実際にどのような点で、大学院で学んだことが生きてくるかを、管理者の目からみたものを調査したいと考えている。 これも、アンケート調査だけではなく、特に正事例に焦点を当てて、その正事例となる成績優秀者が勤務している学校の校長、教頭にインタビュー調査を行いたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査の入力、インタビュー調査のテープ起こし、また学校訪問などに研究費を使う予定である。そのための旅費にも研究費を充てたい。 さらに、H23年度から本年度にかけて調査したインタビューをもとに、教職大学院修了者の中での正事例と言うべき人たちが何を獲得したかを群馬大学の紀要にまとめる予定である。この紀要の掲載費、およびこの研究を教育心理学会等で発表したいと考えており、学会参加費や、シンポジウム開催費用に研究費を充てる予定である。 H23年度に必要な物品(デジタルビデオカメラやパソコンなど)は取得しているので、H24年度は、主として旅費や、データ入力、テープ起こしなどの消耗品などの費用に充当することを想定している。 なお、研究費を当初の予定通り執行した結果、平成23年度において数百円の端数が生じたが、その端数については平成24年度予算とあわせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)