2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530846
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松永 あけみ 群馬大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10222613)
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Keywords | 発達の気になる幼児 / 保育者の言葉がけ / 幼児の他児認知 |
Research Abstract |
1.前年度に実施した、「気になる」子どもへの保育者の対応と周囲の子どもたちへの影響に関する保育者の意識調査の結果をまとめ、論文を作成した。主な結果は、80%以上の保育者は、気になる子への対応が周囲の子どもたちのその子に対する認知や行動に、保育者の評価の方向と同様の方向でかなり影響を与えると考えているが、ほとんど影響を与えないと考えている保育者も若干いることが明らかとなった。 2.昨年度実施した面接調査の追試調査を行った。 逸脱行動を示す他児に対する幼児のその子への好感度や認知が、保育者の言葉がけの内容によって影響を受けるか否かを明らかにするために、幼稚園の年中児、年長児、各54名を対象に、仮想場面における主人公の行動と保育者の言葉がけの例話を作成し、個別の面接調査を実施した。 その結果、昨年の結果をとは異なり年長児においては、保育者の言葉がけの影響は見られなかった。年中児においては、攻撃行動をする主人公への言葉がけにおいて、保育者が行為の意図を言及した場合に、攻撃行動や主人公の特性に言及する場合よりも、主人公への好意度(どのくらい一緒に遊びたいかの評定)が有意に高くなった。この結果より、保育者の言葉がけが逸脱行動や行為者の特性の言及ではなく、行為の意図を言及する言葉がけの方が、周囲の子どもたちの当該幼児に対する認知が好意的になる可能性が示唆された。また、子どもの年齢や逸脱行動の種類、さらに、保育者の表情などにより、保育者の言葉がけの影響が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、質問紙調査1件、面接調査2件の実施が完了した。 また、質問紙調査を論文にまとめた。実験的面接調査は、分析が継続中で学会発表に間に合わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、面接調査研究をまとめ、学会発表および論文にまとめる。 また、これまでの成果を、調査に協力して頂いた幼稚園や保育所を中心に、幼児教育関係者に公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
面接調査研究(2)の分析が継続中あるため、研究費が繰り越された。 平成25年度は、上記の面接調査研究(2)の分析を終わらせ、学会発表および論文の作成をする予定であり、そのために必要な経費として、繰越金を含めた研究費を使用する。さらに、これまでの成果を調査協力者を中心に現場の幼児教育関係者に公表するための経費として研究費を使用する。
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