2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530846
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松永 あけみ 群馬大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10222613)
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Keywords | 発達の気になる子 / 保育者の言葉がけ / 幼児の他児認知 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度実施した実験2の結果をまとめ、論文を作成するとともに、学会発表を行った。実験の概要および結果は以下の通りである。 実験2では、逸脱行動を示す幼児に対する他の幼児の当該幼児への好感度や対人認知が、保育者の言葉がけの内容によって影響を受けるか否かを明らかにするために、幼稚園の年中児(平均5歳3ヶ月)および年長児(平均6歳1ヶ月)各54名を対象に実験を行った。具体的には、仮想場面における主人公の逸脱行動とその際の保育者の言葉がけの例話を作成し、同じ逸脱行動場面でも保育者の言葉がけの内容によって、主人公に対する好感度や対人認知が異なる否かを個別面接により調査した。 その結果、平成23年度実施の実験1とは異なり、年長児においては保育者の言葉がけの影響は見られなかった。その要因として、実験2では保育者の表情を提示していないことや仮想場面の違いが考えられる。実験1では実施していない年中児においては、実験1の年長児と同様に保育者の言葉がけの影響が見られ、攻撃行動をする主人公に対して、保育者がその攻撃行動の意図を言及して注意するような言葉がけの場合に、攻撃行動や主人公の特性に言及して注意するような言葉がけの時よりも、主人公への好意度が有意に高くなった。 実験2より、逸脱行動を示す幼児に対して、逸脱行動や対象児の特性を言及して注意するような言葉がけではなく、行為の意図を言及しながら注意するような言葉がけの方が、周囲の子どもたちの当該幼児に対する認知が好意的になる可能性が示唆された。しかし、対象児の年齢や逸脱行動の場面、さらに、保育者の表情などにより、その影響が異なることも明らかとなり、今後のさらなる研究が必要である。
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