2011 Fiscal Year Research-status Report
記述式問題で測定される能力の構造とその発達過程に関する縦断的研究
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23530851
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 秀宗 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30342934)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 教育心理学 / 教育測定 / 教育評価 |
Research Abstract |
本年度はまず,中学校における先行研究で見出されている記述能力について,小学校での検討を行った.その結果,中学校の場合と同様に,記述式問題について,文章の要約,具体例の記述,理由の記述,図表やグラフの理解などの要素が見られた.また,設問の性質から無回答とはなりにくく,他の記述式問題に対する無回答との関連が低くなる項目や,解答類型と受検者の回答との不整合により得点率が低くなる項目が存在することも確認された.さらに,小学校テストには,数式による理解や,条件設定の理由を書く分析的思考,用いる用語を指定した作題者の意図が分かりやすいなどの要素が含まれていたことも理解された.やはり,内容の要約や要約的表現,具体例などをある程度の長さの文で記述する項目においては無回答率が特に高かったが,得点識別指標は低かった.一方,数式による理解に関する項目においは,無回答率が高く,得点識別指標も高いということが確認された. 次に,素材は同一であるが設問の構造を変えたいくつかのテスト冊子を作成し,調査を実施した.そして,記述能力の測定に影響する設問の構造についても,先行研究などを参考に,いくつかの要因を抽出した.具体的には,会話文テキスト問題における空所の表記においては,同じ形で表記した場合と区別して表記した場合,得点率及び識別力は近い値になるが,同じ形で表記する方が多少高い値になることなどを見い出した. この調査への研究協力校のうち複数の学校において,次年度以降も調査に協力して頂けることを確認し,縦断的な検討への足がかりを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
記述能力について,中学生について得られていた結果に加え小学校における結果を提示できたこと,設問の構造的性質が得点に影響する要因についての検討を行い得たこと,また,縦断的な検討を行う足がかりを構築できたことによる.
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Strategy for Future Research Activity |
記述能力の発達的な変化を捉えられるように,新たなテスト冊子を作成し,調査を実施するための環境整備を行う必要がある.人事異動などで調査継続が困難とならないよう,学校との信頼関係を築くためにも,適切なフィードバックを行っているところである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,調査の実施にあたり,旅費,印刷費,郵送費などの経費が見込まれる.また,データの整理や入力,分析にかかる謝金も必要とする.さらに,今年度得た成果を学会等で報告するための旅費および学会参加費も予定される.
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Research Products
(6 results)