2014 Fiscal Year Research-status Report
記述式問題で測定される能力の構造とその発達過程に関する縦断的研究
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23530851
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 秀宗 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30342934)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 読解力 / テスト開発 / 項目分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までのデータに本年度収集したデータを追加し,記述能力を含む読解力の縦断的的変化について検討した.テストとしては,高校入試問題を基にした15項目(記述式8,選択式7)からなるテストを用いた.分析の結果,読解力の変化には,学年の影響だけでなく,学年団の影響を強いことが確認され,より精確な分析を行う必要が生じた.そこで,そのためのデータを改めて収集した. また,本年度は英語の読解力についての検討も行った.これは,グローバル化社会を見据え,日本語だけでなく英語の読解力についても検討を行っているものである.まず,大学入試の英語テストで出題された問題を用いて,誤答選択枝についてコメントを収集し,コメントの結果をもとに錯乱枝の要因・水準を特定した.次に,大学生の受検者366 名に英語文章読解テストを実施し,能力別に錯乱枝の効果を検討した.その結果,能力低群では,文章中に記述がなく,否定語や因果関係を用いた錯乱枝を選ぶ者が多かった一方,能力中群では,文章中に記述があり,否定語や因果関係を用いた錯乱枝を選ぶ者が多いことなどが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度において,記述式問題で測定される能力の構造について,小学生と中学生を対比させた検討を行いその異同を明らかにした。単一のテストではなく,異なるテストを用いていることから,結果の外的妥当性がある程度確保されたと考えられる。 2年度目は,記述式問題で測定される能力の発達過程を捉えるため,中学2年生と3年生に同一問題を実施し,結果の比較を行った。その結果,学年(年齢)の違いによる能力の差異の検討を行い,研究結果を学会で報告した。 また2年度目は,上記とは別に,能力の発達的変化を捉えるため,縦断的データの収集も行い,記述式問題で測定される能力の発達過程について,縦断的な検討を行うための調査を遂行した。 3年度目は,収集した縦断的データを分析し,国語読解力の発達的変化について検討した。あわせて,縦断的データの収集を続け,さらなる発達過程を捉える準備を行った。 これまでの研究で,国語読解力の発達的変化については一定程度の知見を得ることができたと考えられる.また,英語読解力についても調査・分析を行っている. しかしながら,データ収集において,調査時期が最終年度の1,2月になったものもあり,分析と結果の公表が当初予定よりやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
課題を延長することが認められたので,最終年度に収集したデータも追加して分析を行い,結果の公表を行う予定である.
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Causes of Carryover |
記述能力の発達的変化を検討したところ,学年進行による変化だけでなく,学年団の影響もあることが明らかにされた. それゆえ,より精確な分析を行うために,当初予定よりも多くの学年団において縦断的データを収集する必要が生じ,最終年度もデータ収集を継続した. データ収集と整理が完了したのは平成27年2月であり,それらを分析し,研究成果としてまとめ公表するための期間がさらに必要となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蓄積したデータの分析に関する研究補助謝金,及び,研究成果公表のための経費(学会参加費等)などを予定している. ただし,残額が不足することも想定されるので,適宜調整する.
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Research Products
(3 results)