• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

「あたたかく課題を突きつける」指導方略を促す学級課題状況の実証的研究

Research Project

Project/Area Number 23530852
Research InstitutionAichi University of Education

Principal Investigator

弓削 洋子  愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80335827)

Keywords教師 / 指導性 / 学級の課題状況 / 課題の一致性 / 学習意欲 / 連帯性 / 児童認知
Research Abstract

教師の2つの指導性(‘引き上げる’‘受け入れる’)統合を具体化した指導方略「あたたかく課題を突きつける」がその機能する要因として,学級の課題状況に注目し,以下の作業をおこなった。
まず,平成24年度に実施した,児童の学級目標と教師の学級課題との一致性(教師-児童の課題の一致性)が教師の2つの指導性統合に及ぼす影響についての質問紙調査のデータの分析をおこなった。調査協力者は小学3年から6年生の児童(74学級,児童総数2,250名)および担任教師74名であった。課題の一致性に関しては,中学年においては教師と児童ともに児童の個人伸長(学習面や特別活動に関わる資源の伸長)を目標としているケースが多く一致性が高かったが,高学年においては教師が個人伸長を目標にしているのに対し児童は友人関係形成・維持を目標としており,課題の不一致がみられた。また,教師が学級目標として個人伸長を設定しているとき,‘引き上げる’と‘受け入れる’双方の指導行動が児童に認知された。但し,高学年では,児童自身も個人伸長を目標としているとき,‘引き上げる’指導行動のうち‘突きつけ’を認知し,かつ‘突きつけ’と‘受け入れる’指導行動が学級連帯性を高めて最終的に児童個人の学習態度を促進することが示された。この成果は国内の学会において発表した。
教師への依存と反発が入り交じり指導が難しいといわれている高学年においては,‘あたたかく課題を突きつける’指導方略が効果的であることを弓削(2012)は示したが,この指導方略を規定する課題状況として,個人伸長を教師と児童とがともに志向している状況にあることが今回の調査データの分析によって示唆された。
加えて,上記以外の児童対象の質問紙調査のデータ分析からは,教師の正当性認知が‘突きつけ’と‘受け入れる’指導行動とを促進することが示され,国際学会にて成果を発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

昨年度中旬から下旬にかけて多数の小学校による調査協力が得られたため,今年度データ分析に着手でき,その成果の一部を国内外の学会において発表することができた。また,分析結果から得られた知見を協力校にフィードバックして新人教師の学級経営に関するコンサルテーションの一助とした。加えて,小学校教師へのインタビューや授業観察の結果と研究結果を比較することもおこなった。
その一方で,学級集団単位のデータ分析が十分ではない。理由として,データ分析の手法について試行錯誤している点が挙げられる。また,論文としてまとめる過程上必要な文献の収集・整理がまだ十分ではない点と,学級集団構造と課題状況との関連についての予備調査が実施できなかった点が挙げられる。

Strategy for Future Research Activity

第一に,調査データをさらに学級単位で分析し,学級集団構造と課題の一致性についての分析を展開する。また,データ分析の結果を国内外の学会で発表して他の研究者から様々な意見や知見を得て成果を論文としてまとめていく予定である。
第二に,調査データを論文としてまとめる上で,過去の教師の指導性研究を現在まとめている。その成果を展望論文として執筆し,過去の教育社会心理学研究における本研究課題の位置づけを明確にする予定である。第三に,教師と児童との課題の一致性や共有がはかれる課題状況について,申請当初は縦断的研究を計画していたが協力校の諸事情により当初の計画の実行が難しい状況にある。したがって,横断的な予備調査を計画する。具体的には,教師と児童とが目標を一致できる学校・学級活動場面を探索する調査,加えて,当該場面での教師および児童の心理や活動についての調査である。可能であれば平成26年度中に小中学校に協力を依頼して予備調査を実施したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

データ分析の手法について試行錯誤したため,高度の統計ソフト利用の見込みがつかなかったことと,論文としてまとめる過程上必要な文献の収集・整理がまだ十分ではないこと,加えて,予備調査が実施できなかったため,調査に関する資料収集やアンケート作成に関わる物品費・郵送費を使用しなかったことが次年度使用額の生じた主な理由である。
次年度使用計画としては,データ分析作業及び資料整理のための統計ソフトの購入費及び人件費,専門的知識を得るための調査成果の一部を国内外の学会にて発表するための出張費,及び学校・学級活動の諸場面についての教師へのインタビューのための出張費,結果を考察するにあたっての文献資料費,さらに,学級集団構造の予備調査に関する資料収集やアンケート作成に関する物品費や郵送費である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 教育社会心理学研究の動向と課題2013

    • Author(s)
      弓削 洋子
    • Journal Title

      日本教育心理学年報

      Volume: 52 Pages: 46-56

  • [Presentation] 教師と児童の課題一致性が児童による教師の指導行動認知に及ぼす効果2013

    • Author(s)
      弓削 洋子
    • Organizer
      日本社会心理学会第54回大会
    • Place of Presentation
      沖縄国際大学
    • Year and Date
      20131102-20131103
  • [Presentation] 学級集団構造にみる教師の2つの指導性統合:児童生徒リーダーに注目して2013

    • Author(s)
      弓削 洋子・森部 真穂
    • Organizer
      日本教育心理学会第55回総会
    • Place of Presentation
      法政大学
    • Year and Date
      20130817-20130819
  • [Presentation] Integration of teachers' two leadership functions: Students' assessment of their teacher leadership behavior and legitimacy.2013

    • Author(s)
      YUGE,Yoko
    • Organizer
      The 13th European Congress of Psychology
    • Place of Presentation
      Stockholm, Sweden
    • Year and Date
      20130709-20130712

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi