2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大塚 雄作 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (00160549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 真晃 山形大学, 基盤教育院, 准教授 (30379028)
村上 正行 京都外国語大学, マルチメディア教育研究センター, 准教授 (30351258)
半澤 礼之 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10569396)
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Keywords | Faculty Development |
Research Abstract |
平成24年度は,若手FD(Faculty Development)担当者を調査対象者とした質問紙調査やインタビュー調査の成果を,「若手FD担当者の業務に対する「やりがい」と「不安」―他部局との連携とキャリア展望の観点から―(日本教育工学会論文誌,36,3,327-337.)」,「FD担当者が抱く問題意識とキャリア展望(第19回大学教育研究フォーラム発表論文集)」といった形で報告した。 また,FD担当者が抱えている不安やキャリア展望についてインタビュー調査を実施し,その内容の分析を行った。その結果,彼らの問題意識として「立場の不安定さ」や「アイデンティティ」といった点が,不安を解消したりキャリア展望を支えるものとして「自らの専門分野における活動」「長期的なビジョンの保持」「大学人としての責任」「過去の失敗した経験」「組織的な配慮」などが存在することが明らかになった。 2008年4月に学士課程教育においてFDが義務化され,近年,FD業務に関わる教職員の増加と共に若手教員特有の困難さが様々に指摘されている。このような状況において,上記の研究知見は,若手FD担当者の問題意識やキャリア展望の一次的な把握として重要であるとともに,彼らを支援するような体制づくりを検討するための基礎的なデータとして有益な資料となるということができると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は,(1)若手FD担当者の業務・問題意識について実態を把握すること(質問紙調査),(2)若手FD担当者のキャリア展望について調査し,有効となる知見を明らかにすること(インタビュー調査),(3)大学組織が若手FD研究者を支援するため の知見を導出すること(人的マネジメントの観点からの文献研究)。以上の3点である。 平成24年度は(1)の実態把握の成果報告と(2)のキャリア展望の調査の一部を実施することができた。(1)の実態把握が十分にできたこと,また,(2)のキャリア展望についてインタビュー調査が進められていることから,本研究課題は,おおむね順調に進展しているということが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成23年度に行った質問紙調査の分析結果および平成24年度のインタビュー調査の結果に基づいて,(1)若手FD担当者に継続してインタビュー調査を行い,彼らのライフヒストリーからみるキャリア展望について検討を行うこと,(2)そしてその検討から大学組織が若手FD研究者を支援するための知見を導出することを目的とする。 具体的には(1),FD業務を担当している若手FD担当者について,大学が設置されている地域,大学の規模,業務形態など多様な対象者を設定し,これまでの研究者としての活動,現職におけるFD担当者としての業務についてインタビュー調査を行ない,ライフヒストリーの観点から研究者としてのキャリア展望について分析を行う。この分析によって,若手FD担当者のキャリア展望を明らかにすると同時に,平成23年度の調査で得られた若手FD担当者が抱える問題が,彼らのキャリア展望の中でどのような意味をもっているのかについて検討を行う。そして,(2)それらの知見を大学組織におけるFD担当者の人的マネジメントという観点から整理し,大学組織が若手FD研究者を支援するための知見を導出することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は主として(1)調査のための旅費(2)調査結果を分析するための研究補助の雇用(3)調査結果の分析に必要な書籍の購入(4)研究成果を報告するための学会参加に必要な旅費の4点に研究費を使用する。 具体的には,平成25年度は全国の大学のFD担当者へのインタビューが主たる調査となるため,訪問のための旅費が必要となる。また,そこで得られたインタビューデータの分析補助のための(テープ起こしやデータの整理など)研究補助の雇用が必要となるだろう。それらのデータを人的マネジメントの観点から整理するために,関連分野の書籍の購入も必要となる。そして最後に,これらの調査・整理によってで得られた知見を大学教育や教育心理学,キャリアデザインなどに関わる学会で報告するための旅費が必要となると言える。
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Research Products
(2 results)