2011 Fiscal Year Research-status Report
青少年のリスク認知における過小視現象の検討:安全教育へ向けた基礎的研究として
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23530855
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
竹西 亜古 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (20289010)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生徒指導 / 安全教育 / リスク認知 / 青少年 |
Research Abstract |
本研究は、青少年の問題行動の生起過程にリスク心理学の知見を応用し、予防的・開発的生徒指導に資することを目的とする。具体的には、問題行動に至る心理過程を、当該行為に対する青少年のリスク認知の特徴(リスク過小視)に焦点を当ててモデル化し、検証する。モデルには当該行為によって引き起こされる結果評価の不適切さがリスク過小視を引き起こす過程を中心に、学力や認知欲求といった能力・認知的要因、自尊感情や他者との関係性をいった感情・関係的要因、さらには地域や家庭の特性といった環境的要因を影響因として設定し、中高生を対象とした調査データによる解析を行う。 本年度は、問題行動への関心・欲求やリスク過小視の実態を明らかにするとともに、モデルに設定された影響因を予備的に検討するため、学校現場では公立中学校1校・公立高校6校、さらにWeb 調査では首都圏など都市部の高校生を対象に調査を実施した。調査対象となった中学校は、前年度生徒指導上の問題行動が頻発した学校であった。高校6校には、多発校と平均校さらに問題が皆無であった学校が偏りなく含まれていた。 その結果、学校における問題行動の発生状況と、リスク過小視および当該行為に対する結果評価の不適切さに相関があることが明らかになった。このことは学校現場における生徒指導において、リスク認知という切り口が有効であることを示すといえる。さらに、結果評価の不適切さには、認知欲求の低さ(思考を嫌う程度)や、地域の規範意識などの要因が関連していることが示唆された。また多発校では、自尊感情のひとつである関係的存在意義感(自分が他者から必要とされているかどうかの自己評価)の低さも見られ、問題行動への関心・欲求との関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中高校あわせて7校の全生徒の調査データ(n>4000)が得られ、現場での生徒指導の実態に本研究のアプローチが有効であることが示された。さらに、当初次年度に予定していたWeb調査を前倒しで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、中学校の対象校を増やし6校程度のデータを集める。さらに高校では引き続き同じ6校で再調査を行い、モデル解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査対象校が増加するため、調査実施および結果の整理解析のために、印刷費や謝金としての使用分を増額する。さらに解析のために、新たなソフトの購入を検討する。
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