2011 Fiscal Year Research-status Report
第二言語のルール学習が母語の高次操作を創出するメカニズムの教育心理学的研究
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23530856
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉國 秀人 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (30343734)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育系心理学 / 第二言語 / ルール学習 / 母語 |
Research Abstract |
本研究では,19年度~20年度科学研究費補助金若手研究(B)で示した母語に関連する素朴理論からの干渉とその抑制を含む「英語の応答に関する認知プロセス」の研究を更に発展させることが目指される。3年計画の1年目にあたる今年度の主たる研究目的は,素朴理論からの干渉が予想される英語のルール学習場面で,「母語-第二言語間の視点切り替え」と「関係操作的思考」に注目した教授方略を具体化したテキストを開発することであった。 はじめに,先行した探索的調査の量的データを再分析し,学会における発表・討論を通じて情報収集を行った。特に,英語のきまりや変換後の命題を適切に再認できた者の方が日本語や日本文化への興味度が高かったことが伺える点への言及や,「関係操作的思考」に関わるテキスト部分の改善に必要な情報についての資料収集に努めた。 次に,学内研究倫理審査委員会の審査を経て,大学院生及び学部生を対象としたインタビュー調査を実施した。インタビュー調査には,「母語-第二言語間の視点切り替え」と「関係操作的思考(中でも,工藤(2010)の提案における「手がかり化操作」に注目)」を促す働きかけをより具体化するよう改善したテキストが用いられた。インタビュー調査の前には,参加者から文書にて情報提供の承諾を得て,インタビューの情報は量的データ及び質的データとして分析された。テキスト読解中の「回答への確信度」の結果から,英語の否定疑問文への応答に関わる回答が,確信を持って行えるようになっていく様子が伺えた。こららの結果をふまえ,学外研究者との討論を通じて多角的な視点からの考察を可能とするため,学外研究会での発表を行った。成果公表のためにさらなる工夫を行うことが,次年度以降の課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3つの主目的のうち,初年度の目的として掲げた「「母語-第二言語間の視点切り替え」と「関係操作的思考」を具体化したテキストの開発」が,大学院生及び学部生を対象としたインタビュー調査を通じて,概ね達成されたと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
より一層広く成果を公表するために,学会や研究会への積極的な参加など,さらなる成果公表のための工夫を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は支払い処理の都合により生じたものであり,研究は当初の計画通り行う。
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Research Products
(1 results)