2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530858
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉村 伸一郎 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40235891)
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Keywords | 空間認知 / イメージ / 数量概念 / 心的数直線 / 身体性 / 幼児教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児期における空間的思考力の育成を考える上で基礎となる科学的な知見を得ることであった。そのために,今年度は,幼児の空間参照枠の選択における実験者の位置の効果(研究1)と,数表象の発達に関連する空間認知能力(研究2)を検討した。 研究1 対象を定位するための参照枠は,幼児期から児童期にかけて,周囲を基準とする絶対的なものから自分を基準とする相対的なものへ変化していくことが明らかにされつつある。しかし,それぞれの参照枠を選択する割合は,研究によって大きく異なる。そこで,本研究では,再構成時の実験者の位置が記銘時と絶対的に同じであれば絶対的な反応が多くなり,相対的に同じであれば相対的な反応が多くなる,という仮説を立てた。日本と中国の幼稚園で実験を行った結果,部分的に上記の仮説を支持する結果を得た。 研究2 数量に関する認知や行動を規定していると考えられるものの一つに心的数直線があり,近年,視空間ワーキングメモリが関係していることなどが示されつつある。しかし,どのような空間認知能力が心的数直線の形成に関わっているのか明らかにされていない。そこで本研究では,数表象の形成に関連があると考えられる空間認知能力とそれらに関わると思われる感覚運動能力を測定する課題を開発し,両者の関連を検討した。予備実験は,10月に,保育園の年少,年中,年長,各10名を対象に,直線上の位置を記憶するマッピング課題と,8cmや32cmの直線上の相対的な位置を16cmの直線上で示すスケーリング課題,そして,半分や倍の長さを指や手で表現する感覚運動課題を実施した。その結果,どの課題も測定に利用できることが確認できた。本実験は,11月と12月に実施し,現在,心的数直線の評定基準の数量化まで分析を終了した。
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Research Products
(7 results)