2012 Fiscal Year Research-status Report
学校コミュニティでスクールカウンセラー等の心理職を活用するためのシステムの開発
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23530860
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
山口 豊一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (10348154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80282937)
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40579140)
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Keywords | 心理職 / 活用システム / 学校管理職 / 主任層(ミドルリーダー) / 学校コミュニティ |
Research Abstract |
援助サービスのシステム開発の調査研究を実施した。 システム開発の調査研究においては、全国の小学校、中学校、高等学校、各50カ所を対象に質問紙調査を実施した。なお、対象校となる学校や教育委員会の抽出に当たっては、研究代表者、研究分担者、研究協力者が心理職の配置されている学校や教育委員会を中心に決定した。 ①平成23年度の予備調査を基に、「心理職活用システムに関する項目」を収集した。②「心理職活用システムに関する項目」を使って事前調査をした(小・中・高等学校の各5カ所)。③本調査をした(小・中・高等学校の各50カ所)。「心理職活用システムに関する尺度」を作成した。 以上から、心理職活用の重要なポイントとして、「心理職への評価」、「心理職の有用性」、「心理職の活用体制」の3点が明らかになった。 心理職活用尺度を所属校別にみると、「心理職の評価」は、小学校に比べて中学校や高等学校において有意に高く、「心理職の活用体制」は小学校や高等学校に比べて中学校において有意に高かった。この結果より、中学校における心理職の活用体制が整備されつつあること、心理職が有意義に活用されることで教職員から評価されていることを考察した。中学校への心理職配置が始まって10年以上経過し、これまでに心理職と教職員とが様々な工夫を行って積み上げてきた結果であるといえる。さらに、心理職活用尺度は、役職ごとにも差がみられ、往々にして各ミドルリーダー群と比べて校長群における「心理職の評価」と「心理職の有用性」の得点が高かった。学校運営における最高責任者たる校長が心理職の活用に関して高い意識を持っていることが示され、今後の心理職活用に関しては、校長を中心とした体制づくりを目指すことが有効であると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、学校コミュニティにおける心理職を活用するシステム構築に関する検討を目的とし、心理職活用尺度を作成した。並行して、児童生徒問題行動対応困難度に関する尺度も作成して、心理職活用尺度との関連を検討した。その結果、学校コミュニティにおいて心理職を効果的に活用するためのシステム構築に際して、「心理職への評価」、「心理職の有用性」、「心理職の活用体制」の3点が要点であることが示された。そして、児童生徒の問題行動に対して対応困難な場合、心理職の活用体制がうまく図られていない可能性が示唆された。こうした結果を踏まえると、学校コミュニティにおいて児童生徒の問題に対応するには心理職の活用体制が整っていることが重要であるが、心理職を有効に活用するシステムは未整備であるのが現状であることが言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成24年度は、学校管理職及びミドルリーダーを対象とした調査であったが、平成25年度は、活用される側の心理職ならびに教育委員会などの行政に関する調査を合わせて行い、互いの結果をすり合わせることで、学校コミュニティの中で心理職と教職員が更に円滑に連携して援助活動を行うための観点が明らかになると考えられる。 2.小・中学校に入って、援助サービスのマネジメント委員会に参加し、そこでコンサルテーションを行って心理職活用に関する態度・認知度がどのように変容するか、実践的研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実践協力校に出向いて、援助サービスのマネジメント委員会に参加して①管理職による心理職の活用について、生徒指導・教育相談担当者の心理職の活用についてなど、援助サービスにおける心理職活用システムの実際と問題点・改善点に焦点を当てて観察する。そのための旅費(春学期は10回で本務校と実践協力校との交通費、秋学期は10回で自宅と実践協力校との交通費)、実践協力校の協力者への謝礼(図書カードを想定)が必要である。 また、調査・分析の補助として、アルバイトを雇用する。 さらに、3年間の本研究の研究成果を報告書にまとめ、刊行する。
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