2013 Fiscal Year Research-status Report
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23530864
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 忠弘 学習院大学, 文学部, 教授 (90276759)
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Keywords | 動機づけ / 達成行動 / 関係性 / 他者志向的動機 / ボランティア / 養育態度 / 感謝感情 |
Research Abstract |
平成24年度末に実施した、大学生を対象にしたREAS(リアルタイム評価支援システム)を用いたインターネット上での対人感情に対する調査についての分析を行った。この研究では、1週間にわたって1日3回、その時点で感じている様々な感情(感謝、他者への信頼、孤独といった対人感情と一般的な快感情)を報告を求める共に、毎日1日を振り返って感情を喚起させた出来事、人に感謝した出来事、人から感謝された出来事、および研究を実施した1週間を振り返っての回顧された感情について回答を求めた。またこの研究参加者には、自己・他者志向的動機尺度、親の養育態度尺度、ボランティア活動に対する認知的評価を尋ねる尺度にも回答させた。 対人感情の1週間の平均的トーンの分析では、他者志向的達成動機を保持している人が周囲の他者との関係において日常的に感謝や信頼感を感じやすいという結果が得られた。また感謝された出来事を多く報告した人の方が、他者志向的達成動機を保持している傾向が認められた。 また階層線形モデルを用いて、感謝感情と一般的な快感情との関連の強さが、自己・他者志向的動機に対する態度の違いで異なるかどうかを検討したところ、男性では達成動機に関係なく、感謝を感じてる人ほど快感情が高く、女性では、感謝感情が快感情に及ぼす影響は、他者志向的動機と自己志向的動機を統合している人で強いことが明らかにされた。 この研究を踏まえ、さらに他者志向的達成動機と感謝感情、および感謝される経験との関係を質問紙調査にって検討する2つの研究を行った。最初の研究では、感謝されることに対する態度を測定する尺度を作成した。別の研究では、感謝経験を感じる対人関係を検討すべく、場面想定法を用いて様々な対人関係性における感謝感情を測定する質問紙を作成した。予備的なデータ収集を完了し、現在分析を行っている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
中学生、高校生に対する調査を実施するための協力校を探すことが難しいこと、および収集したデータを協力いただいた学校で活かすための方法を見つけること、そして協力校との話し合いのなかでの尺度項目の調整に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施した質問紙調査のデータを分析し、感謝されることに対する態度を測定する尺度の項目の検討、洗練化すると共に。様々な対人関係性における感謝感情を測定するために設定した仮想場面についてもその妥当性を検討する。その上で他者志向的達成動機と感謝感情、および感謝される経験との関係を検討するために、再度質問紙調査を実施する。 平成25年度に研究協力を依頼した中学校での質問紙調査を実施する。他者志向的達成動機の発達過程を検討するために、従来使用している尺度を改変して、中学生用の自己・他者志向的達成動機尺度を作成する。その上で、学業やクラブ活動を行う理由と学校での充実感について、他者志向的達成動機との関係を調べる。この研究については引き続き、高校での実施の可能性を探る。 尺度で測定される他者志向的達成動機の予測的妥当性を検討するために、達成状況での行動との関係を確認する。期待する他者が顕在化の程度を操作し、他者志向的達成動機の高い人で課題遂行に動機づけられるかを検討する実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中学校、高校での質問紙調査が実施できなかったため、質問紙作成のための費用と打ち合わせのための費用を使用しなかった。また自己・他者志向的達成動機尺度の妥当性を確認するための実験室実験を実施できなかったため、研究参加者に対する謝礼としての費用を使用しなかった。 American Psychological Science 26th Annual Conventionへの参加および同時開催の7thSociety for the Study of Motivationでの発表のための学会参加費および旅費および28th International Congress of Applied Psychologyでの発表のための学会参加費および旅費(合わせて約500,000円)、実験室実験の研究参加者への謝礼(約200,000円)、中学校および高校での質問紙調査の質問紙作成費用および研究打ち合わせの旅費(約200,000円)、データ入力および実験補助者への謝礼(約200,000円)、実験室実験で使用するパソコンおよび刺激提示用ソフトウェア(150,000円)、印刷用インク、ケーブル、メモリーなど消耗品(約100,000円)に使用する。
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Research Products
(6 results)