2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530874
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
白水 始 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (60333168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高垣 マユミ 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50350567)
河崎 美保 追手門学院大学, 心理学部, 講師 (70536127)
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Keywords | 発見学習 / 協調学習 / 学習科学 / 知識統合 |
Research Abstract |
本年度は、協調的な発見学習に関するこれまでの成果を統合して理論化を図ると共に、今後必要となるテーマに関する試行的実証研究を進めた。 理論については、協調的な発見学習について、1)教師が教えずに子どもに任せたいのは知識の統合であり、2)子どもは対話を通して知識の探索、統合、解体、再統合を繰り返し理解を深めることができ、3)知識の統合がその不備や不足を自覚させ次の疑問を生み、未来の学習を準備することを確認した。その上で、この分野を先導するシンガポールの学習科学研究者Manu Kapurとのシンポジウムなども通して、受容学習の組み合わせ方や順序性について議論を深めた。学習には受容学習がもたらす効率性と発見学習がもたらす創造性との両方が必要なものの、新規な事項の学習においては、できるだけ早期に発見学習を通して問題の本質を捉える活動が必要なことを理論的検討を通して提案した。 今後に向けた研究課題の一つは、単元単位で序盤に発見学習を導入することが全体の効率性を高めるか、二つは、導入に阻害となる関係者の学習観の検討である。小学校4年生の算数の単元を対象に協調的発見学習を序盤に導入したものの、次の課題を見出した。すなわち、担任教師は問題の解法についてクラス全体で話し合う際に、発言者が固定化することを問題視し、発問をスモールステップに区切ることでより多くの児童の発言を促すという形で解決を図った。それにより、発言数は増えきちんとした発言は可能になったが、発見学習の鍵となる児童自身にわかりかけたことを言語化させる機会は失われた。高校生物「遺伝情報とその発現」の授業でも、ICTを導入して多様な解を電子黒板で共有して発見学習を進めようとしたが、教師には多様性の扱いが難しいと受け止められた。今後は、教員や生徒も含めた、学習を一つのゴールへの到達と見る学習観の改変が課題となる。
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Research Products
(21 results)