2011 Fiscal Year Research-status Report
表記システムの発生・発達過程とその規定要因の分析:数表記を中心として
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23530875
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
山形 恭子 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (20085963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古池 若葉 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (40307690)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 数表記 / 数理解 / 数産出 / 数概念 / 表記知識 / 年少幼児 / 年長幼児 / 発達過程 |
Research Abstract |
平成23年度は数表記の発達を数理解・数概念の発達と関連づけて、年少幼児と年長幼児を対象に調査し、数表記の発生・発達過程を解明すること、さらに、文字・数字・描画の表記システムの縦断観察をおこない、その発達過程を探究することが目的であった。平成23年度には以下の研究をおこなった。 数表記研究は研究数が少ないが、それに対して、数理解・数概念などの研究はこれまで多数の知見が報告されていることから、本研究では先ず両者の関連性を理論も視野に入れて検討するために、後者の文献総覧をおこなった。 その後に、研究代表者は資料が皆無である年少幼児の数理解・産出に関する資料を収集するために、2~6歳の幼児を対象に家庭環境における彼らの数行動に関する調査を質問紙を用いて実施した。その結果、2歳に数唱と年齢に関する数行動が、3~4歳に周囲の環境中の数字の読み・認識・再認が、5~6歳に数字書きと加算・引算の数操作の発達が見出された。年少幼児を中心とした家庭における数行動に関してはこれまで十分な資料が報告されていなかったが、本調査を通じてその実態と一連の発達過程を解明することができた。 また、研究分担者は年長幼児における数表記の発達を表記知識と数理解・産出ならびに数概念との関連の下に解明するために面接調査を実施した。しかし、園側の事情のために平成23年度は調査対象児数が十分にえられなかったために、平成24年度に引続いて面接調査を実施中である。年長幼児に関する研究はこれまで数概念・計算を中心に多数検討されてきたが、数表記知識と数理解・産出や数概念との関連性については解明されておらず、その成果が期待されるところである。 なお、縦断観察に関しては、現在、研究計画を変更して構想中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は数理解や数概念などの先行研究に関する文献総覧を先ずおこない、数表記研究との関連をその理論も視野に入れて検討した。 その後に面接調査・実験を実施したが、特に年長幼児に関しては園の行事予定と重なり、十分な数の調査対象者に対して面接調査をおこなうことができなかった。そこで、平成24年度に面接調査を引続いて実施することになった。 また、縦断観察に関しては対象者の同意をえることが難しかったために、本観察を実施できなかった。以上の理由から平成23年度の研究計画の達成はやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には平成23年度の研究を踏まえて、年少幼児に関しては数表記の理解・産出と表記知識や数概念との関連を発達的に面接調査を通じておこない、また、年長幼児に関しては引続いて面接調査と実験をおこなうとともに数表記に加えて数式表記の理解に関しても検討する。 さらに、縦断観察を開始し、表記システムの発達過程を解明する予定である。縦断研究では当初母子ペアを観察する予定であったが、母子ペアへの依頼が困難であったことから、保育園にて園児を縦断観察する方向で現在検討中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者ならびに研究分担者は面接調査や観察資料の収集・分析のために研究補助者の謝金ならびに研究発表のための学会出張旅費が必要である。 なお、研究分担者は面接調査を平成23年度に引き続いて実施するために、平成23年度に予定していた謝金ならびにその発表のための学会出張旅費を平成24年度に使用予定である。 その他に、研究に資するように数字・数学発達関連図書を購入する費用も計上した。
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