2012 Fiscal Year Research-status Report
表記システムの発生・発達過程とその規定要因の分析:数表記を中心として
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23530875
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
山形 恭子 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (20085963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古池 若葉 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (40307690)
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Keywords | 表記活動 / 表記知識 / 数表記 / 年少幼児 / 年長幼児 / 読み / 書き / 発達変化 |
Research Abstract |
平成24年度は数表記の発生・発達過程ならびにその規定要因を解明するために年少幼児と年長幼児を対象に面接調査を実施し,えられた資料を統計的に分析するとともに,縦断研究を開始した。 面接調査では数表記の発達と数関連課題の関連性,数認識理解の発達を検討した。数表記の読み・書き課題では数字1-13と20を与えて検討し,数関連課題では新版K式発達検査の課題から4つの積木・10と13丸・数唱・数選び等の課題を用いた。 結果は数表記の読み・書きの発達に関しては,2.5歳~5歳までの対象児において年齢にともなって増加が見られた。2.5歳と3歳では数字をほとんど読めなかったが,3.5歳から10までの数字の約半数を読むことができ,5歳では10を超える数字も読むことが可能になった。書きは読みよりも遅く発達し,4歳で書くことが可能になった。 数表記と数関連課題との関連性の結果は偏相関において年少幼児で読みと10丸,数唱との間に,年長幼児では上記の課題との間に有意な関連性が見い出された。本結果から数関連課題における数唱や1対1対応,基数の理解が数表記の読み・書きに先行することが窺われた。 また,年少幼児における環境世界に見られる数表示の理解を筆者が作成した数認識課題を用いて検討したところ,2.5歳から4歳にかけて年齢にともなって数認識の発達が認められた。しかし,本課題は数表記の読み・書きや数関連課題と関連しなかった。数表記の理解・産出の発達のためには環境中の数表示を単に理解できるだけでなく,数に関する体系的な理解(数唱・1対1対応等)が必要であることが示唆された。 本年度は縦断研究を数名の対象児で開始したが,今後も継続して資料の蓄積をおこない,次年度にこれらの資料を分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数表記の読み・書きの発達に関して2.5歳から5歳までの対象児に面接調査を実施し,その発達過程を解明し,さらに,その発達に影響する要因として数関連課題との関連性を検討することができたが,今後,対象児数を増やすとともに規定要因を詳細に分析する予定である。 さらに,本年度は数表記の発達に関する縦断研究を質問票を用いて保護者に毎月の数・文字の発達を報告して頂く方法を用いてその資料収集を開始したが,今後も継続して資料を収集する必要があり,今後の課題である。 また,本年度には数式表記の発達を検討する予定であったが,現在おこなっている数表記の読み・書き研究に集中するために,本研究は次年度におこなう予定に変更した。 以上から,研究は当初の研究目的に照らし,やや遅れが見られると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度と平成24年度の研究を踏まえて,今後は縦断研究を継続して資料の蓄積をおこなうとともに,数表記に加えて数式表記の発達に関して検討する。 また、これまでえられた数表記に関する実証研究の資料を統計的に解析を進めて,発表し,論文にまとめていく作業に取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
面接調査や縦断研究では資料の収集・分析のために研究補助者や協力者である保護者に謝金が必要である。また,研究成果を海外ならびに国内で発表するために学会出張旅費が必要であり,平成25年度にはこれらのために研究費を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)