2014 Fiscal Year Annual Research Report
表記システムの発生・発達過程とその規定要因の分析:数表記を中心として
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23530875
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
山形 恭子 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (20085963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古池 若葉 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (40307690)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 数表記 / 数読字 / 数書字 / 数概念 / 数式表記 / 年少幼児 / 年長幼児 / 発達過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまで収集してきた数表記・数式表記・数関連課題に関する資料を分析し、以下の研究結果をえるとともに研究全体のまとめをおこなった。 1.数式表記の理解と数操作の発達との関係を以下の計算問題などを課して5~6歳児で検討した。課題として①数表記の読字・書字課題、②数理解を調べる数選び課題(基数課題)と多少判断・順序数課題、③加算・減算計算課題、④数式を書く数式表記課題、⑤数式表記における演算記号の理解を調べるための数式記号選択課題(数式記号を選択肢から選ぶ課題)を与えた。結果は数表記課題と計算課題は年齢にともなって正答が増加したが、数式表記課題と数式記号選択課題はほとんどできなかった。課題間の相関分析では数表記と数式表記および計算操作と数式表記は相互に関連せず、これらは独立に発達する可能性が示唆された。 2.数表記の読み・書きと数概念課題(4つの積木・丸10と13・数選び課題)との関連性を検討し、事物と数詞の1対1対応の原理に関する理解が数の読み・書きを規定することが窺われた。また、重回帰分析の結果から数選び(基数獲得)課題と4つの積木課題が数字読みに有意に影響することも示された。以上の結果から数の読字・書字は基数および事物と数詞の1対1対応の原理の理解が前提になることが示唆された。 3.1~3歳児の数行動と文字・描画などの表記システムの初期発達を縦断研究で検討してきたが、2歳代の資料の分析では対象児は養育者とのやり取りを通じて数唱と数詞を獲得し、それらを事物の計数に適用するとともに、環境中の数字を認識することも見出された。また、月齢にともなって数詞が10まで可能となり、次第に拡大することも見出された。縦断研究の結果は発達初期の数獲得における養育者の働きかけの重要性を示した。また、表記システムの発達では描画が先行し、次に数表記が、最後に文字表記が発達することが明らかになった。
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