2011 Fiscal Year Research-status Report
子育て環境が養育者の生きがい感形成プロセスに与える影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
23530878
|
Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
熊野 道子 大阪大谷大学, 教育福祉学部, 准教授 (20413437)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 生きがい / 幸福(幸せ) / 子育て / 東日本大震災 |
Research Abstract |
本研究の目的は、時間と状況の2次元からみた生きがい形成の価値過程モデルを構築し、乳幼児の養育者に適用して、乳幼児の養育者が生きがい感を形成する心理プロセスを明らかにすることである。上記の目的を達成するために、平成23年度においては、下記4つの観点から研究を行った。なお、これらについて関西社会心理学研究会(KSP)での研究発表に向けて準備中である。(1)生きがいの2側面についての理論分析: これまでに、生きがい形成において時間と状況の2つの重要な側面があることを見出し、その2側面から実証的研究をすすめてきた。平成23年度においては、神谷の生きがい論とセリグマンの幸福論について2側面から理論分析を行った(熊野『大阪大谷大学紀要』2012)。(2)時間と状況の2次元からみた生きがい形成モデルの構築: これまでの実証的研究や文献研究を統合し、時間と状況の2次元からみた生きがい形成の価値過程モデル(生きがい形成モデル)の提案を行った(熊野『教育福祉研究』2011)。そして、生きがい形成モデルを構築するに至った心理学理論を説明するために、学術図書の出版を行った(熊野『生きがい形成の心理学』風間書房,2012)。(3)乳幼児の養育者の生きがい形成モデルの構成要素の検討: 上記(2)により構築された生きがい形成モデルを乳幼児の養育者に適用するために、養育者の生きがい感・幸福感や子育て環境に関する文献収集や事例収集を行い、文献や事例の解析や評価を行った。(4)東日本大震災後の生きがい感の変化に関する検討) 東日本大震災がおこり、日本人の生きがい感・幸福感にも変化がみられると考えられる。そこで、震災後の日本人の価値観・人生観・生きがい感・幸福感などをめぐる変化について文献収集を行い、日本人の生きがい感・幸福感にも変化が生じている可能性があることを報告した(熊野『企業年金』2011)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画外の事象として、東日本大震災の発生により、日本人の生きがい感への影響について新たに検討する必要が生じた。そのため、質問紙の作成などで一部遅れがあるものの、全般としては、生きがい形成モデルの構築、文献調査の進展など、計画通りおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、東日本大震災の発生により、計画外の新たな検討を行い、全般としてはおおむね順調に進展しているものの、質問紙作成などで一部の遅れがあるため、次年度に使用する予定の研究費が生じた。今年度は、計画に従い、質問紙作成を行い、養育者の子育て環境と生きがい形成モデルに関する調査研究を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使途は文献研究と調査研究にかかわる費用が中心となる。上記の今後の研究の推進方策に従い、本年度繰り越し分も含め、研究費を使用する予定である。
|