2012 Fiscal Year Research-status Report
抑うつに対する予防的学生支援システム構築に関する臨床健康心理学的研究
Project/Area Number |
23530894
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
及川 恵 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60412095)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西河 正行 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (50218137)
伊藤 拓 明治学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20412306)
山蔦 圭輔 産業能率大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80440361)
|
Keywords | 抑うつ / 予防 / 学生支援 / 認知行動療法 / 大学生 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は、大学生の抑うつに焦点を当て、大学の授業および学生相談室で実施可能な予防教育プログラムの開発と効果検証を行うことである。 本年度の主な目的は、前年度の基礎的研究と従来の実践研究の成果を踏まえて、1.大規模講義における予防プログラムの検討、2.学生相談室における予防プログラムの検討を行うことであった。まず、プログラムの開発に際して、1、2共に短期間の介入であることから、昨年度の調査や情報収集の成果をまとめ、その結果を基に比較的効果の現れやすい内容を選定し、講義内容やワーク等の教材を作成した。 1.大規模講義における実践 複数校において、150~200名程度の授業の中で週1回、計3回の予防プログラムを実施した。各回は認知行動的な対処方略に関する講義や授業内で実施するワーク、グループディスカッションから構成した。プログラム実施前後に学習内容に関連する自己効力感等の指標を測定する質問紙調査を実施した結果、プログラム参加者において自己効力感に概ね肯定的な変化がみられた。 2.学生相談における実践 前年度に調査協力の得られた1校で、主に認知的対処に関する内容を実施した効果を検討した。参加者に対して介入実施前後に介入内容に関連する自己効力感やプログラムの評価をたずねる質問紙調査を行った結果、介入後に自己効力感が向上していることが示唆された。プログラムに関する総合的評価も概ね肯定的であり、プログラム内容が学生のニーズに合い、興味関心を持って臨めるものであったことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、大学の授業および学生相談で実施可能な抑うつ予防のプログラムを開発することが課題であった。 研究計画に基づき、大学の授業と学生相談のそれぞれにおいて短期間の予防プログラムを試験的に実施することができた。プログラムの効果は質問紙調査により実証的に検討されており、両者で概ね肯定的な結果が得られている。昨年度までのプログラム開発のための基礎研究や先行研究の概観についても成果をまとめる作業が進められており、本年度の目標を達成したため、当初の計画通りと評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度に開発したプログラムの洗練と教材開発を行うことが課題である。 プログラム内容および使用教材の洗練を行うために、本年度に得られたプログラムの効果に関する質問紙調査のデータについて、学生から得られた自由記述等も含めて詳細に検討する。学生相談については昨年度と同様のプログラムを実施し、データ数を増やしてより詳細な検討を行う。最終的には、授業と学生相談における効果的な予防プログラムの実施の在り方について提案を行うため、プログラム実施者や複数の専門家から知識提供を受ける予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の主な研究費の使用として、(1)データ整理等のためのアルバイト謝金、(2)国内外の最新の知見に関する情報収集、成果発表のための学会参加に関わる旅費、(3)認知行動療法関連の文献購入費、(4)データ管理のための記録媒体等物品購入費、(5)教材や質問紙作成のためのインクや用紙等消耗品購入費、(6)論文化のための英文校閲費用等を予定している。
|
Research Products
(7 results)