2011 Fiscal Year Research-status Report
セラピストの発話に関する言語論的分析と訓練モデルの構築
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23530895
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大山 泰宏 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00293936)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 心理療法 / 言語論 / セラピスト養成 / コーパス |
Research Abstract |
" セラピストの発話に関して,言語論的側面から分析・考察した文献や論文を収集し,研究進行の全体的な方向性に関して,さらに精緻に計画を立てた。購入した関連図書は,精神分析関連,言語論的関連,コーパス関連など,合計20冊程度である。 日本における心理療法の言語論的特徴に関して,とりわけロジャーズ派の日本での導入とその後の変容に関する研究に関してまとめ,2nd Asia Pacific Rim International Counselling Conference (.香港,2011年7月) において,発表をおこなった。この発表はAsian Pacific Journal of Counselling and Psychotherapy の学会特集号での論文化が推薦され,英語による論文が採択・掲載された (The transformation of Rogerian client-centered techniques of psychotherapy in Japan: Background and implications)。この論文では,ロジャーズ派のリフレクションの機能の変化に関して,日本語の文法的特徴,「甘え」の心性を切り口として分析し,日本の独自の心理療法のスタイルの生成とその意義に関して論じたものである。 日本語のコーパスの収集に関しては,日本心理臨床学会の学会誌である『心理臨床学研究』に2000年から2010年に掲載された事例に関して,セラピストの発話の該当箇所を抜き出しコーパスを作成した。また,それに関する予備的な分類カテゴリーを生成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本でのロジャーズ派の導入に関する研究は,予想以上の進展があった。そのひとつは,必要な文献・論文のほとんどが,京都大学教育学部図書館で収蔵されていたことである。このことで,資料収集の時間が大幅に節約できた。また,香港の学会での発表では,多くのコメントや議論の機会に恵まれ,日本の心理療法の特徴を研究者が意識化していくのに,大変有益であった。さらに,論文化することができたことも,当初の予定をこえた進展であった。 これに対して,コーパスの作成のほうは,まだ収集するデータが限られており,当初の計画にやや遅れをとっている。しかしながら,コーパス作成は2カ年計画であげていたものであり,今年度はその分類カテゴリーの目処がたってきたことは,大きな進展であった
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Strategy for Future Research Activity |
コーパスの作成に関しては,積極的に研究補助の雇用をおこない,また,分類カテゴリーの生成等に関しては,当初計画の訓練生に対するシミュレーション課題に加え,熟練したセラピストによる集中討議を加える予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,コーパス作成のための研究補助の人数を増やし,より効率的に作成をおこなう。また,生成されたカテゴリーの評価のために,熟練したセラピストへの謝金等が発生する予定である。
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Research Products
(2 results)