2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530904
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 玲仁 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (70411121)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 政嗣 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 准教授 (60352019)
長岡 千賀 京都大学, こころの未来研究センター, 研究員 (00609779)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 風景構成法 / 対人相互作用 / 描画法 / 身体運動 / 臨床心理学 / 認知科学 |
Research Abstract |
本年は,主に蓄積データの解析,分析方法の確立,学会発表,論文投稿,臨床心理学的視点と認知科学的視点の共有可能点の模索を行った。 蓄積データの解析では,平成22年度までに蓄積した風景構成法描画場面の分析を行い,臨床心理学的に見て欠き手と見守り手の関係性の成立度合による描画特徴や描画場面における行動の特徴について検討を行った。この結果,関係性のスタイルによって行動セットの出現パターンに特徴があること,また描画のプロセス特徴や事前事後の行動にも関係性との関連があることなどが示唆された。 分析方法の確立としては,風景構成法のプロセス研究の手法として動画解析ソフトウエアelanと外部機器(マルチメディアコントローラー)の組み合わせにより,極めて効率の良い描画プロセスの分析が可能となった。これによりこれまでほとんど研究されてこなかった彩色過程の研究が飛躍的に進むことが期待される。 これらの研究については,合計5回の研究発表(ポスター2件,口頭発表3件)を行い,査読つき論文も1本が査読審査中である。 この風景構成法データの分析では,臨床心理学的事象を認知科学的にも捉えられるよう,調査場面の映像データを視聴しつつその臨床的な現象の様相を認知科学者とも共有可能な言語に置き換える作業をおこない,そのプロトコルデータも分析を行っている。 また,各種学会,研究打ち合わせを設定し,データ分析および解釈についてのディスカッションを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蓄積データの分析の進展と新たな分析方法の確立については交付申請書の「研究の目的」に記載した通り進行している。新たなデータの収集は行わなかったが,予定には無かった,臨床心理学的データを認知科学的にも了解可能な言語に置き換える作業を行い,研究を進めるに当たっての重要なステップを踏むことができた。学会発表,論文投稿も行ったため,おおむね順調に進展してると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,新たに開発した描画プロセスの分析手法により,これまで蓄積されたデータの既存の分析手法で分析されたものの再分析及びその統合を行う。また,特に彩色過程の研究は先行研究でもこれまで扱われていないプロセスの研究が可能になったため,開発した方法によって分析を行うことにより新たな知見が得られると期待できる。 現段階で臨床心理学的現象の認知科学的言語化についての基礎が確立しつつあるため,当研究参加研究者同士ならびに他の研究者との交流・ディスカッションを行ってこれをより発展させ,視点共有の土台を更に堅固なものへと発展させていく。 上記のような作業を経た上で,風景構成法の機序についての仮設を生成し,それに基づいて新たなデータ収集を行ってその検証ならびに洗練を行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
20人規模での調査を行うために,被検者謝礼,交通費,研究者の旅費,会場費,描画用具や映像データ保存のための消耗品が必要である。また,分析機器の充実のためにコンピュータ周辺機器,映像再生機器等の購入が必要である。また,研究打ち合わせを瀕回に行う必要があるために,国内旅費が必要である。学会発表については海外と国内の両方を予定しているため,海外旅費・国内旅費ともに必要とする。近年は風景構成法関連,描画関連,研究方法関連の書籍の出版が増えていること,他分野の文献でも本研究に役立つものが多数出版されていることから図書費も必要である。
|
Research Products
(7 results)