2011 Fiscal Year Research-status Report
高機能広汎性発達障害者の対人関係能力の向上を目指した臨床心理学的支援に関する研究
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23530906
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高原 朗子 熊本大学, 教育学部, 教授 (20264989)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 高機能広汎性発達障害 / 対人関係 / 心理劇 |
Research Abstract |
研究の目的:本研究の目的は、高機能広汎性発達障害児・者の対人関係能力向上に集団心理療法の一技法である心理劇を利用した支援を行い臨床心理学的に実践・検証し確立していくことである。そこで「対人関係の多重構造モデル」(高原 2011)という視点(心理劇の場で起こる「現実の人間関係」と「心理劇の中での心理的現実の人間関係」の同時的体験)をもって、対象者に心理劇を施行し、発達段階や症状の違いによるその効果や技法を分析・検討する。さらに、彼らの対人関係能力の向上を目指すための支援マニュアルを開発し、様々な臨床場面で利用できる臨床心理学的システムの構築を目的とする。2.主に以下4点の内容を遂行した。1)評価表の試案作成に向けて:「対人関係の多重構造モデル」評価表(試案)作成に向けて、今まで行ってきた心理劇のデータ分析を行った。2)成果発表・情報収集:日本心理劇学会・西日本心理劇学会等にて、研究の成果の一部を発表し(高原2011a,2011b,2011e)、編著を刊行し(高原2012a,2012b)、心理劇の実施方法やその効果を示した。更に各種研究会・研修会で実践発表や情報収集を行った。3)対象者の選定:各発達段階にある児童から成人15名に対して心理劇支援を行い、データを収集し、成果の一部をまとめた。4)研究補助者(学生・ボランティア等)の教育:支援マニュアル(高原2007,2009他)に基づき専門家や学生たちを指導し、補助自我として心理劇支援に参加させ、その成果は高原(2012a,2012b)にまとめた。3.研究の意義と重要性:今年度の主な成果は1.児童期から青年期までの、今までの対象者に心理劇による支援を行い、そのデータを分析し、効果をまとめ、さらに2.支援マニュアルの簡易化を図り、それを中間報告(高原2012b)として示したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね予定通り遂行できている。 特に「対人関係の多重構造モデル」に関する事例研究は、論文や著書で発表することができた。 しかし、当初平成23年度には作成予定であった「対人関係の多重構造モデル」評価表(試案)作成に関してのデータ分析がまだ十分ではないため、来年度はここを重点的に取り組んでいきたい。 したがって、全体的にはおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの達成度での示したように、次年度は対人関係の多重構造モデル」評価表(試案)を作成し、発表していきたい。そのために心理劇の実践のデータを分析し、評価するための資料収集や、作成のためのパソコン機材、ソフト等が必要である。また資料取集や研究発表のための場に出席するための出張費が必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)心理劇プログラム実施および評価試案作成:心理劇プログラムを実施し、心理劇における「対人関係の多重構造モデル」評価表(試案)を作成し検討する。2)情報収集(国内外学会参加および専門家による講演・学習会開催):日本心理臨床学会・日本特殊教育学会・日本心理劇学会・日本自閉症スペクトラム学会・国際児童青年精神医学会等にて、上記研究試案を発表し、研究の客観性・妥当性を高めていく。また、専門家による講演・学習会を実施し、本研究の効果についてまとめていく。3)記録されたプログラムおよび評価試案の分析4)研究成果の発表とプログラム・評価試案の修正5)最終的な成果の総合考察と発表
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Research Products
(7 results)