2014 Fiscal Year Annual Research Report
青少年の生活不安と攻撃行動に関する発達臨床心理学的研究
Project/Area Number |
23530909
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
藤井 義久 岩手大学, 教育学部, 教授 (60305258)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 生活不安 / 北欧諸国 / 国際調査 / 親子関係不安 / 友達関係不安 / 自己能力不安 / 教師関係不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童生徒の生活不安と攻撃行動に関する国際比較を行うために、日本864名と北欧諸国719名(デンマーク305名、フィンランド275名、スウェーデン139名)計1583名の児童生徒(10歳~15歳)を対象に、新たに作成した「児童生徒の生活不安に関する32項目」および「児童生徒版怒り尺度(簡略版)」(20項目)を実施した。 まず、児童生徒の生活不安に関する32項目について、主因子法・プロマックス回転による因子分析を行った結果、4因子解が妥当であると判断された。そこで二重負荷の見られた項目を削除し、繰り返し同様の因子分析を行った結果、最終的に、親子関係不安、友達関係不安、自己能力不安、教師関係不安という4つの下位尺度から成る「国際版児童生徒用生活不安尺度」(20項目)が開発された。次に、本尺度を用いて、児童生徒の生活不安水準の地域差および年齢差について検討するために、二要因分散分析(地域×年齢)を行った。その結果、地域差においては、友達関係不安、自己能力不安、教師関係不安において、有意な主効果が認められた。すなわち、友達関係不安と教師関係不安においては北欧諸国の方が、逆に自己能力不安においては日本の方が有意に高いことがわかった。一方、年齢差においては、友達関係不安、自己能力不安において、有意な主効果が認められた。さらに、Tukeyの多重比較の結果、13歳以下の者が14歳以上の者に比べて友達関係不安は有意に高く、逆に自己能力不安は有意に低いことがわかった。 さらに、生活不安と攻撃行動の中核を成すと言われている怒りとの関連性について、国ごとに重回帰分析によって検討した結果、日本、北欧諸国とも、特に教師関係不安が高い児童生徒ほどカッとなりやすい傾向が見られたことから、教師との関係性が他者への攻撃行動を増やす大きな要因になっている可能性の高いことが示唆された。
|
Research Products
(3 results)