2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530912
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
小山 充道 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (20170409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 自分描画法 / 思い / 幼児期 |
Research Abstract |
本年度は初年度にあたり、2件の研究を実施した。 1件目は4人の子どもを対象とした事例研究であった。すでに存在する誕生から15歳までの対象者4名の生活行動観察ノート36冊[これには落書きが描いてある]をもとに、ビデオ映像、カセットテープによる音声記録、生活の中で描いた各種描画などを用いて、子育て日記による親の思いの分析を行った。日誌の文字の部分をパソコンに入力し日本語形態素解析KH Coder2.xを用いて計量テキスト分析を行った。その結果、親は子育てが深まるにつれ、生理領域の用語から社会領域の用語をより用いる傾向にあることがわかった。また同じ言葉づかいが第2子、第3子、そして第4子に対して繰り返されるわけではなく、親自身も育児を通して成長し続けること、1歳から9歳に至るまで、使用される用語に"自然"に関する用語が加わり、思いの視点の広がりが認められた。 2件目の研究は落書きの構成要素に関する心理学的分析であった。描画に抵抗がない順は、「気になるもの」→「背景」→「自分」→「隠れているもの」となり、この4要素で落書のほとんどが占められていた。題名分析の結果、「季節」「天気」「対人」「感情」「青春」「心情」「芸術」「時間」「夢」「メルヘン」「祝い」「好きなもの」「楽しみ」の14の分類タイトルが得られ、圧倒的に「心理的な内容」が大半を占めていることがわかった。本研究結果より、「落書きは自分描画法の根底にある」という研究仮説は支持されたといえる。前者の研究結果については本年度の日本心理学会で、後者は日本心理臨床学会で発表予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にある内容のほかに、追加の研究をも実施できた。幼児の落書パターンが青年期にある人の落書きの構成要素に反映されていることもわかった。本研究仮説は「落書は思いの発露→落書の構成要素として「自分」「気になること」「背景」「隠れているもの」の4つの要素を想定しているが、本年度の研究で本仮説は支持された。その後、自分描画法の適用として何歳ぐらいから実施可能かの課題にあたり、現在幼児を対象に試行適用中である。今回の課題遂行により自分描画法の適用年齢がわかり、自分描画法で表現される心理的内容の輪郭も浮かび上がらせることに成功した。心理療法で自分描画法を利用する際の細かい手続きについて、かなりの程度わかってきた。毎年の研究内容については「日本心理学会」と「日本心理臨床学会」の2つの学会で発表を行ってきている。議論が活発なことから、研究者間では概ね好評であり、関心が高まっていると判断できる。以上のことから、研究は「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で対象となる幼児は、藤女子大学系列の藤幼稚園在園児に協力を求め、1週間後から研究を実施する予定となっている。これについては園長の内諾済みである。主に集団でのSPM収集となる予定。研究統括者が教示し、試行的に個別事例の収集が可能な場合は対象者の了承を得て、SPM実施時の描画風景をビデオ撮影する。後に音声録音で得られた言語資料を対話分析用とする。実施のセッティングにあたっては、場合によっては研究補助員の協力を得る。 平成25年度と実施要領は同じ。本年度の対象者は幼児である。3年目は個別事例によるSPM収集とする。対象となる幼児は、藤女子大学系列の藤幼稚園児である。これについては昨年同様に内諾済みである。研究統括者が直接収集にあたり、面接者要因を排除する。対象者の了承を得て、SPM実施時の描画風景をビデオ撮影する。後に音声録音で得られた言語資料を対話分析用とする。そして最後に幼児から高齢者の全資料をとおして、SPMの心理療法への適用について分析を深める。その際の留意点は以下のとおりである。 幼児期における自分描画特徴を力動的観点から明らかにする、SPMを心理査定および心理療法として用いる際の細かな指針を策定する、SPM実施時に何が起こっていたかについて質的分析を行い、SPMの効力を確認する、平成25年度幼児を対象とした研究結果を日本心理臨床学会で発表する、結果を報告書にまとめると同時に、論文化および著書としてのまとめの作業に入る。以上の予定で研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
対象となる幼児については、藤女子大学系列の藤幼稚園児に協力を求める予定である。これについては内諾済みである。先に記したように主に集団でのSPM収集となる予定。研究統括者が教示し、試行的に個別事例の収集が可能な場合は対象者の了承を得て、SPM実施時の描画風景をビデオ撮影する。後に音声録音で得られた言語資料を対話分析用とする。実施のセッティングにあたっては、研究補助員の協力を得るという手順である。 以上の研究を遂行するにあたって、学会報告用に旅費、研究補助員への謝金、そして経常消耗費としてクレヨンやプリンターインク代、研究関連図書費等の物品費が必要となる。初年度に必要な物品は購入したので、次年度は経常消耗品代としての物品費を計上する。
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Research Products
(7 results)