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2012 Fiscal Year Research-status Report

幼児期の自分描画法(SPM)に関する臨床基礎研究

Research Project

Project/Area Number 23530912
Research InstitutionFuji Women's University

Principal Investigator

小山 充道  藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (20170409)

Keywords自分描画法 / 幼児 / 思い
Research Abstract

本年度は本テーマでの2年目の研究にあたり、2件の研究を実施した。
1件目は「幼児が抱く“思い”とは、どのような状況で生成され、その心理的内容は幼児によってどのように表現され、対する人にどのよう把握されるのだろうか?」という幼児の“思い”の内容と、実施形態(グSPM対個SPM)がSPMに与える影響について質的検討を行った。F幼稚園では4~6歳 の幼児30名(男女各15名)を対象として「グループSPM(以下グSPM)」が実施され、「個別SPM(以下個SPM)」はM幼稚園の4~6歳の幼児9名(男2名、女7名)が対象となった。SPM実施手順を一定に保つために、全実施を報告者が行った。その結果、グSPMでは対話が楽しくなると急に親密度が深まり、行動化の傾向が見られた。結果は「幼児が理解できるように手順を伝えるには工夫が必要。自分を描く際は“誰の絵かがわかるように、最初に○○ちゃんの絵を描いてみて”と教示すると意が伝わる」「幼児は“何を描くのか”と尋ねがち。幼児の自由画は“落書き”と捉えられた。
2件目では自分描画法の特性を明らかにした。コメント内容の分類結果から、SPMに関して次の8つの視点(効果)が浮かび上がった。「描画行為自体がもつ心理的効果に関するもの(感情の高ぶり・退行)」「絵を描いている自分を意識化(自分を対象化してしまう)」「描画自体の限界に関するもの」「思いついたものを描写する」「物語作りの意味に関するコメント」「描画技術に関するもの」「4要素に関するもの」で、以上から描画順序に次のような意味があることがわかった。「①描画[1.自分→2.気になるもの〔思いついたもの〕→3.背景→4.隠れているもの]はSPMにおける“ふれる”作業→②5.物語をつくるは、統一性を図る心的作業でSPMにおける“つかむ”作業→③6.題名を考えるは、SPMにおける“収める”作業と考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度の研究は、当初計画にあった藤幼稚園在園児に対する「数名のグループでの自分描画法の実施」のほかに、「1対1で個別に園児に対して自分描画法を実施」する計画が加わった。これには近隣のミナクル幼稚園の協力を得た。多数の幼児の自分描画が得られ、幼児の自分描画法に関する多くの知見も得られた。平成25年度は幼児と日々接する保育園に勤める保育士(または幼稚園教諭)に対する自分描画法と、幼児をもつ親に対するアンケートを実施する予定である。アンケート項目は、「家庭における幼児の遊びの内容・状況・展開に関する情報収集」と、「お絵かき遊びの実情(実態と効用についての親の実感等)」を主とする。
すでに昨年度の研究成果で、幼児に対する自分描画法実施にあたっての指針は提示されたが、さらにSPMの効力について、確認を行って行く。研究結果はこれまで同様に、日本心理臨床学会で報告する予定である。

Strategy for Future Research Activity

日常生活における人間の“思い”の成長プロセスと心理的構造を,自分描画法を用いて、心理臨床的視点から探求している。思いの理論の展開と,心理臨床的アプローチを自分描画法等を用いて探っていく中で、これまで対象としなかった幼児の自分描画法の特徴を明らかにし、心理療法を行うに際しての要点を探り出す試みを今後も続けて行く。幼児の資料検討が終わり次第、「自分描画法」という括りで、研究成果をまとめる。次年度は自分描画法研究開始11年目に入り、書物として研究成果をまとめるための作業に入っているところである。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品購入については、古くなったパソコンを新しいものに買い換える。通常消耗費として自分描画法の実施に要するクレヨン・色鉛筆等の文具、画用紙類、プリンターインクの補充等を行う。自分描画法関連の書籍については、引き続き購入し、研究資料としたい。
謝金については、自分描画法の実施に協力をいただく、現在保育園に勤務中の保育士または幼稚園に勤務する幼稚園教諭に対して、相応の謝金を支払う。またアンケートの整理および処理にあたって、本学学生に協力を得る予定であり、これに対しても相応の謝金を支払う。
研究成果の発表については、本年度は2つ行う。具体的には日本心理臨床学会(於:東京大学)および日本心理学会(於:北海道医療大学)で、自分描画法に関する研究発表を行う。これに関わる旅費を計上する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 落書の構成要素に関する心理学的分析

    • Author(s)
      小山充道
    • Organizer
      日本心理学会第76回大会発表
    • Place of Presentation
      専修大学
  • [Presentation] 子育て日記による親の思いの分析

    • Author(s)
      小山充道
    • Organizer
      日本心理臨床学会第31回大会
    • Place of Presentation
      愛知学院大学
  • [Book] 「投映法の基礎講座」(第2部 個々の投映法 第4章 TAT)2012

    • Author(s)
      津川律子編著(共著)
    • Total Pages
      全229頁
    • Publisher
      遠見書房

URL: 

Published: 2014-07-24  

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