2013 Fiscal Year Annual Research Report
思春期・青年期の自閉症スペクトラム障害者の対人交渉スキル支援プログラムの開発
Project/Area Number |
23530927
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
長峰 伸治 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (50303574)
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Keywords | 対人交渉スキル / 自閉症スペクトラム障害 / 支援プログラム |
Research Abstract |
本研究では自閉症スペクトラム障害(ASD)者が、対人葛藤場面において自分と相手の両方の要求(視点)を調整しながら相手と交渉することができる「対人交渉スキル」を習得するための支援プログラムを検討することが主目的である。 本年度は、① 対人交渉スキルについてASD者特有の傾向があるかどうかについて同年代の定型発達者との比較検討を行い、② ①において示されたASD特有と思われる対人交渉スキルの特徴、特に未発達・未習得の部分に焦点をあてて、既に実施した対人交渉スキル習得を目的としたワークショップの効果について検討を行った。 ①に関しては、同年代のASD者と定型発達者を比較したところ、ASD者の場合、実際に相手と話し合う際の言語面に関しては「相手にどう話したらよいのかわからない」のように、うまく言語化できない反応を示す割合が定型発達者に比べて多かった。 ②に関しては、①での結果をふまえて、認知面と言語面に焦点をあてて、ワークショップの事前事後の反応の違いを検討した。事前の調査では、認知面において自分と相手の両方の要求を公平に捉えることができても、言語面ではうまく言語化できなかったり、自分の要求を押し通したりする言葉かけをするASD者が、ワークショップ実施後の調査では自他の両方の要求を公平に調整しようとする言葉かけに変化していた。 以上の結果から、本研究で開発・実施した支援プログラムは、認知面で自他両方の要求を公平に捉えることのできる(あるいは両方の要求に目を向けることができる)発達レベルに到達しているものの、実際の話し合い(交渉)において適切に言語化できないASD者に特に有効であることが示された。
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