2013 Fiscal Year Annual Research Report
受刑者に対してロールレタリングを用いた「教育プログラム」の効果の研究
Project/Area Number |
23530931
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 茂樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50412755)
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Keywords | 犯罪・非行 |
Research Abstract |
平成23年度から平成25年度にかけて,受刑者(殺人などの生命犯を対象)に対して,筆者が作成した,ロールレタリングを取り入れた「教育プログラム」を3回実施した。すでに平成23年度までに2回教育プログラムを実施しており,2回の実施で得られた課題を踏まえて教育プログラムの内容を修正し、あらたに平成23年度と24年度の2回の教育プログラムを実施し修正を加えた結果,「教育プログラム」の「完成版」を作成するに至った。 筆者が作成した「教育プログラム」の意義は,現在矯正教育で実施されている「被害者の視点」ではなく,「加害者の視点」から受刑者に内省を求める方法で,それにロールレタリングの技法を取り入れることによって彼らに「心の整理」をさせ,「上辺の反省」ではなく「真の反省」を受刑者の心に芽生えさせることができた点にある。 とくに,ロールレタリングを心の奥底にあった「否定的感情の吐き出し」に活用した点において,受刑者は自身の内面の問題と向き合うことができている。その意味では,従来のパターン化した方法ではなく,「交換ノート」を用いて個々の受刑者が「書きたい気持ちに寄り添う方法」を導入したことは,効果的なロールレタリングの実施方法を矯正界に提示できた点で,意義深い研究成果が得られたと考えている。 なお,「教育プログラム」の研究成果の発信として、学会発表は平成23年度は2回,平成24年度は2回,平成25年度は1回の計5回,査読付き論文は平成23年度は2本,平成24年度は1本,平成25年度は2本の計5本,発表した。また,一般の方にも,筆者の研究成果を知ってもらうため,平成25年度に著書『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)を刊行した。
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Research Products
(6 results)