2011 Fiscal Year Research-status Report
レアシンドローム児と家族への包括的・継続的な心理的支援の確立に向けての基礎研究
Project/Area Number |
23530938
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
堤 俊彦 福山大学, 人間文化学部, 教授 (20259500)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | FGI / プラダウイリー症候群 / レアシンドローム |
Research Abstract |
本年度の目標は, PWS児の発達におけるつまづきや家族が有する問題を明らかにし,心理的援助のニーズとその方向性を探るための基礎的資料を得るためにパイロットスタディを行った。平成22年度のプラダウイリー症候群親の会主催の研修会に参加していて家族の中で,グループによる面接調査への参加に同意した5名の母親を対象に,約120分の半構造化面接によるフォーカスグループインタビュー(FGI)を実施した。学童期の児童の親を選んだのは,PWS児の発育・発達の過程における療育及び教育との関わりの理解を重視したことによる。半構造化面接の内容は,1)健康や心身機能の問題について,2)活動の制限や生活・人生場面への関わりについて,3)生活の場における物的・社会的・態度的環境について,4)個人の人生や生活の特別な背景について,であった。FGIによって得られたビデオ&音声データを木下(2003) のM-GTAを参考に,研究者間で議論の上,分析ワークシートを用いてカテゴリーを作成した。 その結果,参加者の親たちは,PWS児の養育の場面において,困難行動や親の対応の工夫など,3つのカテゴリーが明らかになった。それらは,『巧妙な盗食と予防のかけひき』,『思春期と癇癪の問題』,『困難行動への対処と親のかけひき』の3つが明らかになった。盗食の問題はすべての母親からの訴えがあり,その手口についての巧妙さ及び対応法への苦慮している現状,及びその支援の乏しさが明らかになった。 本年度の,PSW児の発達に伴い様々な特有の困難行動を呈することが明らかになった。今後はこれら特有の困難行動に対しより良い理解が必要とされるととともに,それらに対する対処方略の実効性を検討していくことによる,親や家族に対する効果的な支援を検討していく必要性が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は,レアシンドロームの児童をもつ親の会との関係性の構築,そして特に,プラダウイリー症候群の子どもをもつ親を対象として,フォーカスグループインタビューを用いたパイロットスタディを行い,児童の子育てにおける問題点を明らかにすることを目標に掲げていた。レアシンドロームのひとつであるプラダウイリー症候群の児童をもつ親の会に関しては,これらの計画はおおむね順調に進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度は,プラダウイリー症候群の子どもをもつ親を対象として,フォーカスグループインタビューを用いたパイロットスタディを行い,児童の子育てにおける問題点を明らかにすることを目標に掲げ,それを達成した。今年度は,他のレアシンドロームである,スミスマギネス,アンジェルマン症候群の児童を持つ親の会と接点を持ち関係性を深め,それぞれのグループを対象にフォーカスグループインタビューをパイロットスタディとして行うべく,計画を進めている段階にある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は,インタビュー調査を中心に行うので,基本的には交通費としての旅費,及び新たな知見やアセスメントに関する情報を得るための研修費としての旅費,さらには,データの分析のための人件費に研究費の配分をすることになる。今年度も,研究のスタイルは変わらないので,昨年度と同様の研究費の使い方となる。難病の児童を持つ親のデータも多い等,親の会データ管理を徹底して行う必要があるので,データ分析及び管理用のパソコンが必要となるかもしれない。
|
Research Products
(3 results)