2012 Fiscal Year Research-status Report
日本人における疾病受容概念の構築~がん患者心理面接による分析
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23530941
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
上岡 千世 四国大学, 生活科学部, 講師 (20531833)
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Keywords | 疾病受容 / サイコオンコロジー / がん患者心理面接 |
Research Abstract |
1.目的 本研究は、2007年から2010年までの3年間、大学病院においてがん告知され積極的治療を受けた日本人患者200例に関する心理面接記録から、告知直後から治療段階に応じてどのような心理的変遷を辿るかについて明らかにすることを目的とする。特に受容段階の有無と日本人患者に特徴的な心の変遷を示す感情表現に焦点を当てる。最終的には、本研究計画の動機づけともなった研究モデル、キュブラー・ロスによる「死の受容5段階説」との比較分析を行い、日本文化に適合した疾病受容概念の構築を目指す。 2.具体的研究計画 予備調査:20症例を対象とし、数名の研究協力者を得て、会話の中から感情を象徴する言語・非言語表現に関して抽出して質的分析を行った上で観察者間同意検証を行う。これにより本調査段階で分析に使用するための感情表現語カテゴリーを作成する。・予備調査は、本調査の指標を作る段階であるため、本研究計画のうち最も重要な段階である。・分析対象の20症例の選択と、心理面接記録の部分のみ電子カルテ記録から抽出し、コピー&ペーストにて紙面記録として下ろすという手間のかかる作業を元に、研究協力者と共に同時分析を行っている。・分析段階における重要点は、患者の言語表現について「認知」「感情」「行動」に分けること、面接者(臨床心理士)の所見に関する分析の取り扱いである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備調査段階では、電子カルテからの心理面接記録抽出に多大な時間を要すること、特に研究協力者は大学病院の診療の傍ら従事し、研究代表者は院外所属のため、常時抽出作業ができないという環境面も影響している。また大学病院では、単独使用のHIS端末はないため(カルテのための端末は医療者全員で共有する)、予想以上に抽出作業に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は科研の最終年度に当たるが、先述した研究環境の状況から予想以上の時間と作業を要している。しかし予備調査段階での感情表現言語の抽出は、本研究目的の「日本人がん患者の心理的変遷」の根幹を成す点であり、この抽出によって、今後患者の心理をカテゴライズできることに繋がるため、最も重要な作業といえる。従って時間を要しても予備調査段階は慎重に大切に進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.パソコン2台 2.プレゼンテーション及び録画機器 3.研究打ち合わせ、学会参加・発表のための旅費、参加費 4.印刷費(インク、紙) 5.通信費
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