2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本人における疾病受容概念の構築~がん患者心理面接による分析
Project/Area Number |
23530941
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
上岡 千世 四国大学, 生活科学部, 講師 (20531833)
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Keywords | 疾病受容 / サイコオンコロジー / がん患者心理面接 |
Research Abstract |
本研究は、がん告知を受け積極的治療に臨んだ「日本人がん患者」の心理的変遷を明らかにするため、研究代表者らが担当した患者の心理面接記録の質的分析を行った。心理面接記録から感情表現言語の分類を行うことで、治療の展開に大きく関与する各治療段階に特徴的な心理状態を把握する目的で研究を行った。 (1)感情を表す表現対象は、通常「発語」のみならず、「思考」「行動」に分けることができるが、本研究においては3つの対象に分けず、「患者の感情が汲み取れる表現」としての分析が有効であった。(2)感情言語は「Fisherの感情系統図」を基に分類を試みたところ、がん患者に特徴的な感情表現(言語による)を認め、特に分類上「負の感情因子」に多くの言語表現を必要とした。(3)心理面接記録には、面接者による患者に対する主観的記述部分も含まれており、その中に患者の「感情」を読み取れる場合を多く認めた。(4)がん患者特有の感情表現には「不安」「困惑」「希望」「絶望」「悲しみ」「苦しみ」等が認められたが、一度の面接内で「希望」「絶望」と両極の感情が含まれていた。(5)がん患者の感情は、常に身体状況と密接に連動していた。 これらの手続きは、電子カルテからのsample抽出と同時に、各感情の分類による手続きを採ったため、sampleの抽出及び言語表現分類作業に多大な時間を要した。今後は、さらにsample数を重ねることや、「告知直後」「治療導入期」「積極的治療期」「緩解維持期」の各段階に応じた心理過程に関する量的分析を課題とする。
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