2013 Fiscal Year Annual Research Report
小規模・高齢コミュニティが持つ「とらわれ」：健康行動を獲得するための「しかけ」
| Project/Area Number |
23530942
|
|---|
| Research Institution | Kochi University |
|---|
Principal Investigator |
矢野 宏光 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (90299363)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 秀明 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (30257422)
中澤 謙 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (30254105)
丸山 裕司 聖カタリナ大学, その他部局等, 准教授 (70587930)
|
|---|
| Keywords | 高齢者 / 小規模コミュニティ / 超高齢地域 / 健康行動 / 運動ステージ |
|---|
| Research Abstract |
本研究では、もともと運動習慣がきわめて乏しいコミュニティにおいて、健康行動の実践が地域の力動によって阻害されず、なるべくストレスを感じずスムーズに身体運動が継続できるような環境を研究者らが任意に形成する（しかけ）ことにより、１．健康行動を実践する者のストレス度が低減するか、２．島内に健康行動の実践がどれだけ高まり定着するかを分析・検討することを目的としている。さらに、長期的には、保守的で閉鎖性の強い小規模・高齢コミュニティで行う新たな健康づくりの方法論の開発を目指している。そこで、２年間にわたり、インセンティブを付与するウォーキング・キャンペーン（ＷＣ）（H23・H24年度）と、コミュニティ内に運動行動を拡大させるためのウォーキング・イベント(以下：ＷＩ)（H24）を企画・実行し、それによる住民の心理的変化を記録してきた。
本年度の研究では、これらの知見を踏まえ、ＷＣとＷＩを中心とした「しかけ」によって、コミュニティ内の「とらわれ」がどのように変化したかについて、現地での個人面接調査とシンポジウム形式による住民とのディスカッションを実施した。この結果を以下に示した。
１．ＷＣ後には地域の人々からウォーキングをしていても、バッシングされることが無くなり、それによりウォーキングの実践者のストレスが低減された。
２．ＷＣ・ＷＩ後も継続的にウォーキングを実施している人が多く存在し、さらに、より継続的に運動ステージが向上した住民が増加した。
３．実際にＷＣ・ＷＩに参加することで、明らかに「労働」と「運動」は異なるもので、労働以外に求められる身体運動の必要性が十分理解された。
本実践研究で実施した「しかけ」は、コミュニティの中で健康行動を発生させ、環境にも影響を与える「きっかけ」になったと考えても問題はなかろう。今後、この健康行動の継続をどのように強化するかが、次のステップであると考えられる。
|
